【レビュー№1796】頭上の敵機
頭上の敵機
評価★★★★
少し前にNHKのBSで放映されていた録画をようやく拝見した。
前半は、グレゴリー・ペック演じる司令官が鬼のような厳しさで、落第のレッテルを貼られたB-17爆撃隊を叩き上げる姿が描かれ、やはりリーダーはこうでないとだめなのかと思って見ていると、自ら出撃し操縦席から部下が戦死する様を見るにいたり、司令官は人知れずプレッシャーを感じるようになり、ある日ついに出撃直前に心身に異常をきたしてしまう。
このあたり、この直前に読んだ「証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち」にあったように零戦搭乗員が全員何らかの心身の異常をきたしてしまう経験をしていることと共通していて、興味深い。
戦争が残酷なのは、軍民を問わず命を落とす者がいることだと考えていたが、今回この映画と「証言 零戦」を拝見するに至り、そこで生きている人たち、生き残っている人たちにも重荷を背負わせてしまうことなのだろう。
そして、それは程度の問題はあれ、人間が生きている限り、平時の我々の生活においても存在するのだろう。まさに「にんげんだもの みつを」の世界とは思うが。