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12月 9, 2018の投稿を表示しています

【レビューNo.1698】Tannhaeuser

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評価★★★ 評者は大学時代に大学の合唱団に所属していた。偶然、4年の卒業時の春休みに、エキストラとして二期会のオペラ出演のお話があった。その時の演目がこのワグナー「タンホイザー」である。したがって、本曲の最初から最後まで評者の頭の中に(あの分厚いスコアで何十日も稽古したのだから当たり前だが)、叩き込まれている。 残念ながら本演目の動画記録はあまり恵まれていないようだ。近所の図書館に シノーポリ版 (実はこの版でタイトルロールを歌っているリチャード・ヴァーサールが上記の二期会上演の際には来日、よって本物を稽古の時から評者は見てはいた)が所蔵されているが、あまりに前衛的な演出に嫌気がさしていたので、Amazonで評価の高い本盤に期待して購入したのだが、本盤も負けず劣らずの前衛的演出。冒頭部分はテレビでは放映不能であろう。 タイトルロールを歌うヴェンコフはあまり聞いた記憶のない歌い手だが、可もなく不可もなくか。やはりワグナー歌いとしてルネ・コロは空前絶後のヘルデンテノールであったと認識を新たにした。領主役のハンズ・ゾーテイン、ヴォルフラム役のベルント・ヴァイクルはまだまだ若い時期だったようだが、この頃から十八番役だったか。ヴェーヌスとエリザベートを同じ歌手が歌うという演出だが、人間には二面性があるということの問いかけか? 決して本盤は悪くはないが、やはり本演目の完璧な動画記録はいまだ存在しないようであることが確認できるだろう(カラヤン指揮版の録画が残って欲しかった)。

【レビューNo.1697】フォブチェーン

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評価★★★ 例によって、松屋銀座宮崎バイヤーご提案の一品。こちらはフオブチエーンと言って、元は懐中時計時代に時計とベストや上着とを結ぶための鎖だったようだが、今日ではこのチェーン単独でファッションの一部となっているようだ。確かに、単にベストを着用しているよりは、たったこれをつけるだけでどことなくオシャレ感が出るのは嬉しい。

【レビューNo.1696】リネンハンカチ

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評価★★★ 松屋銀座の宮崎バイヤー曰く、男のハンカチは白の麻で決まりだそうである。なかなか市中のお店では売ってないので、もしやと思い Amazon で覗いたらこちらに出くわして、三枚購入。木綿でなく麻というところが宮崎バイヤーらしいが(氏はポケットチーフも麻を推奨)、確かに麻の方が肌触りが実は良かったり、水分を拭いたりするのにも良いように思う。パッとポケットから出る白いハンカチ、確かに外から見ると清新な印象を与えそうだ。

【レビューNo.1695】モラル・エコノミー:インセンティブか善き市民か

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評価★★★ 例によって 池田信夫氏の紹介 された経済学者(と言ってもかなり心理学に近い感じがした)の方の 200 数十ページ足らずの著書なんだが、なんとも難解。タレブやカーネマンの時もこんな読書感だったが、今回もそれに勝るとも劣らない。その理由は カーネマン本のレビューに評者が書いたのと同じ理由で、書かれていることがことごとく直感に反する からだろう。乱暴に言えば、著者は価格(市場)で解決しようとする在来経済学を全否定しようとしてるのだから。ただ、言われてみれば自らにも利己的より利他的な判断で行為する(家族のために #sck するなど w )ことはあるわけで、実は著者の主張が正解なのかもしれない。インセンティブ(金)で解決するのは難しいと説く著者。うなづく人は意外に多いのだろう。

【レビューNo.1694】魔法のラーメン発明物語

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評価★★★ NHKの朝の連続テレビ小説「まんぷく」は日清食品創業者というよりチキンラーメン、カップヌードルの発明者である安藤百福氏をモデルにした話であることは承知して見ているが、ここへ来てのストーリー展開があまりにも破天荒(工場内に放置されていた旧日本軍の手榴弾を従業員が魚取りの際に使用したことを米軍に反乱行為と受け止められGHQに逮捕される)となっていることから、事実を確認するべく本書を手に取った。 本書を読むと、どこまでが事実で、どこからが創作か(ないしどこからがドラマ化されてないのか)が一目瞭然なので、関心のある向きは一読するべきだろう。 もちろん、波乱万丈の著者の生涯を本人が描いた本書は、そもそもの読み物としても面白い。48歳にしてようやくチキンラーメン発明にたどり着く著者の生き様は、ケンタッキー・フライド・チキンの創業者であるカーネル・サンダースを想起させて興味深い(しかも、二人共チキンに由来)。