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10月 18, 2014の投稿を表示しています

【レビュー№1282】ホット・ゾーン

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評価★★★★ 読書というものは難しいものだ。どんなに優れた本であっても、それを読むべきタイミングというものがある。例えば、先般ご紹介した「 マッサン 」の 自伝 も、いま読むことが読者にとっての喜びになるのだろう。 ご承知の様に、アフリカ発のエボラ出血熱がにわかにアウトブレイクの様相を呈しつつある。本書は何度か出版され絶版になった歴史があるようだが、当時から話題の書だったようで、いつだったか昨今は書評家としても名高い成毛眞氏に、強く本書の一読を勧められたことがあったが、その時はその気にならなかった。しかし、今は違う。いつ読むか?今でしょ! 本書はエボラ出血熱が人類への攻撃を始めたと思われる1967年から1993年までの出来事を、あたかも小説のように書き記してあるが、(一部名前が仮名になっているようだが)ノンフィクションである。おどろおどろしいエボラ出血熱発症後の患者の描写などは、評者も一字一句を読むことがためらわれるほど。 米国ワシントン近郊のレストンで起きた1989年のアウトブレイクの殲滅作戦が、本書の白眉なのであろうが、まさにハリウッド映画を見ているかのような緊迫感を覚えるのだが、これはまさに現実に起きた出来事なのである。 アマゾンジャパンにある方がレビュー を寄せておられるが、これを一読するとおおかた本書を概観することができるので、一読をお勧めする。一言だけ言っておくと、エボラは空気感染をしたとしか説明のできない事案が発生していた事実があるということだ。