【レビューNo.1504】チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」
評価★★★★ 早いもので ギドン・クレーメル も70歳になられたようだ。評者は確か20年くらい前の来日の折に演奏を聞いたことがある。気楽な室内楽スタイル(普段着の様な格好で、終始立ったまま弾いていたと記憶)だったがその鬼才ぶりはよく伝わってきた。 本盤は2010年の録音のようで、こちらの記事によると 翌年日本でも同内容にて演奏会が行わる予定だったが大震災の影響でピアニストのブニアテイシヴィリの来日が中止となってこのトリオでの演奏は実現しなかった ようだ。 この盤の発売当時であればクレーメルによる「偉大な芸術家の思い出」ということだったのであろうが、時が流れ ブニアテイシヴィリ がピアニストを担当しクレーメルがヴァイオリンを弾いた「偉大な芸術家の思い出」という評価になるのだろう。今や飛ぶ鳥を落とす勢いのブニアテイシヴィリのおそらくはメジャーデビュー盤かと思われる。録音当時は63歳であっただろうクレーメルはかつてのような火の出るようなアパッショナートはやや影を潜めているようではあるが、そのテクニックは相変わらず。若々しいブニアテイシヴィリがエネルギッシュなピアノ伴奏でそれによく応えている。