タレブの新刊「強さと脆さ」を読んでみて
というわけで、本日まで通算4回 タレブの新刊「強さと脆さ」 を読んできた。 前作の「ブラックスワン」の改訂版に新たに追加された長大なあとがき的エッセイを、独立で翻訳新刊としたとのことである。 著者の過去の作品である「まぐれ」や「ブラックスワン」と同様で、読者を楽しませようなどといった意図は本書にも微塵も無い。従って、本文部分はわずかに145ページしか無いにもかかわらず、その内容を理解するのに小生の場合は4度の通読を必要とした。 推測するに、前作同様Amazonでのレビューは相当な数の批判票が来るであろう。しかし、今回はそうしたことを見込んだ言及が、既に本書中になされている。 「 ブラックスワン 」のレビューの時にも申し上げたが、本書が難解だからと言って本書を敬遠するのは、実に惜しいことだと思う。 しかし、著者が本文中で述べているように、著者の主張を理解しない者が引き続き大部分(とりわけ、経済や金融の分野において)を占めているようだ。それは、小生も日々実感するところである。従って、いつの日にかまた違う形で、世界に黒鳥は舞い降りるのだろう。 だから、本書を読んでそれを理解できた読者は、幸運なのだろうと思う。 相も変わらず、このエッセイの展開もあっち行ったりこっち行ったりの感があるが、P42あたりの「健康」にまでブラックスワンへの対抗策である「バーベル戦略」を導入するあたりは、著者らしい。一度、医学の専門家にも検証頂きたい、非常に興味深い内容である。