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4月 16, 2017の投稿を表示しています

【レビューNo.1526】危機管理の死角

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評価★★★ 軍事評論家の小川和久氏はサイドビジネスとして危機管理のコンサルタントもなされているようだ。本書はその分野のことについて語られており氏の一連の著書としては珍しいものと言えよう、、、、、とのんびりとしたレビューを書いていたが、北朝鮮情勢も危うくなりここに書かれているようなことが、本邦内でも起きないとも限らない。だから、読んでおいても損は無いと思われる。 面白かったのは、北朝鮮の金正恩について書かれていたところ。氏の見立てでは、北朝鮮の核開発は米国にヒントを得ているという。即ち核保有国と認められ核抑止力を備えたことを理由に、国内の軍縮を進め経済建設を推進しようとしているのではないか?と氏は言う。 なかなか理解しづらい理論であるが、金正恩には金正恩の事情もあろう。現下の情勢は不幸な方向に向かっているが。

【レビューNo.1525】もしも日本が戦争に巻き込まれたら

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評価★★★ にわかに北朝鮮情勢が危うくなってきた。2010年の11月のある日、評者家族は横須賀の戦艦三笠記念艦を訪れていたが、その帰路に北朝鮮が突如韓国を砲撃したとのニュースが入った。本書はその事件を受けて緊急出版されたもののようだ。よって、北朝鮮の戦力分析(核兵器、ミサイル)がやや陳腐化しているのかも知れないが、読んでおいて損は無いと思われる。著者は、この本の書かれた2011年の段階で、北朝鮮の核弾頭小型化は完成しており核ミサイル攻撃能力があると推定している。 また北朝鮮軍については、正規軍よりむしろ総勢20万人とも言われる特殊部隊によるゲリラ的な戦術(都市部での撹乱を起こすようなテロなどの行動)の方が危険だとしている。その意味ではミサイルによる生物化学兵器攻撃より、テロによる生物化学兵器の方がよほど危険だという考え方のようだ。

【レビューNo.1524】日本人が知らない「アジア核戦争」の危機

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評価 ★★★ 私らの年代の人にはおなじみの元 NHK の「ワシントンの日高です」の著者による約 2 年前刊行の東アジアの軍事情勢についての解説書。 とは言え、著者の相当昔の取材(米空母や NORAD や B2 ステルス爆撃機等々の軍事施設そのものやキッシンジャー、シュレジンジャーや米軍幹部等々のお歴々とのインタビュー)に言及引用する部分も多く、現時点でどうなのかな?と正直思わなくもない。 意外だったのは中国空母遼寧が、深刻な欠陥を抱えていて事実上退役に近い状態にあり、これがため中国は通常戦力による進出を諦め、核兵器、宇宙兵器(衛星破壊)、サイバー戦争にのめり込んでいるのだと言う著者の見立てだ。 逆に言えば、通常戦力において米軍は無敵な状態と言えるわけで、そう思うと現下の北朝鮮情勢での米側の出方も理解できる気がする。それは取りも直さず、北朝鮮にとっては核とミサイルにしか生命線はないと言うことだ。 昨日の平壌の軍事パレード(評者は中継は見てないが)でも新型ミサイルで大騒ぎになっていた様だが、いわゆる通常戦力についてはまったく話題になってなかった(そもそも戦車や航空機は出てなかったのか?)ように思う。 それにしても本書によれば、 1993 年に米軍は北朝鮮の核施設を爆撃することを決断し、日本の基地から B52 爆撃機が発進寸前だったと言う(カーター元大統領の北朝鮮電撃訪問により中止)。言っても仕方の無い話だが、あの時撃っておけば、そう思っている米軍幹部は多いのでは無いだろうか。