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11月 10, 2017の投稿を表示しています

【レビューNo.1611】カティア・ブニアティシヴィリ ピアノ・リサイタル

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評価★★★ ピアノ界にに突如現れた超新星のような輝きとギリシャ彫刻のような美しさを誇る、カティア・ブニアテイシヴイリのサントリーホールでのリサイタルに出かけてきた。 冒頭ベートーベンの「熱情」だったのだが、驚いたのはミスタッチが多いこと。プロのピアニストのコンサートでここまでミスタッチする人は、評者の約 30 年のクラシック音楽鑑賞歴で記憶が無い。彼女がベートーベンをあたかもリストの超絶技巧曲かと聞き違うかのように、超高速で演奏するためなのではあるが。その様子はあたかもモナコグランプリを走る F1 カーが、次々にウォールにヒットしてタイヤはおろか最後はシャーシーもなくなってしまい、運転手を保護しているいわゆる「バスタブ」だけになってでも、なんとかゴールを目指すとでも言う危ういもの。 「熱情」を終えて次の曲に入る前に、かなり念入りに椅子の高さを調整していた。その様子は、グレン・グールドがピアノの椅子の高さの調整だけで 30 分近い時間をかけたとの「伝説」を彷仏とさせた。 F1 マシンの様なピアノ演奏なのだから。イスの高さのコンマ数センチかの違いでも、大きな違いが出るのだろう。マクラーレン・ホンダのマシンがウイングのコンマ 1 ミリの違いで別物のような動きとなっていたのと同じで。 二曲目以降は多少は安定感を取り戻したが、それでもミスタッチは散見された。ようやく終盤の自家薬籠中であろうリストの曲群となって、高速と正確さとがバランスが取れてきた。 アンコール(もたくさん演奏してくれたが)のドビュッシーの月の光が珠玉の出来だったことを思えば、そんなに急いでどこへ行く必要があるのだろうか?若さと今後の成長に期待して★ 3 つとしたい。本来なら★ 2 つなのかも知れない。

【レビューNo.1610】すべての疲労は脳が原因 3 <仕事編>

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評価★★★ ベストセラーとなった「すべての疲労は脳が原因」シリーズの第 3 弾。今回は前々作の様な「イミダペプチドの多い鶏の胸肉を食べろ」とか、「紫外線が良くないのでサングラスをして帽子をかぶれ」といった具体的な対応策ではなく、疲れないための考え方や生き方行動指針といったものが述べられており、読めばおそらく誰しもが心当たりのある提案のオンパレード。「重要度が低いタスクは翌日に回す」という提案などは、どこかタレブの「反脆弱性」にあった「先延ばしは良いことだ」との言説とつながっている気もする。「 60% の力で 70% の結果を出す(ことを成功と考える)」「人生本気で頑張れるのは 3 年間が限度」といった考え方は、耳の痛い話だが受け入れなければいけないのだろう。「目を閉じるだけ」でも疲労軽減になるそうだから、あなたが明日からすぐできることも多く提案されている。