【迷著迷盤再読再聴№2】ザ・ラスト・レコーディング
評価★★★★★
先日より開始した「迷著再読シリーズ」であるが、音楽についても随時書きたいので、件名を変更したいw
ということで本盤であるが、かつて評者がレビューしたようになんといっても終曲のワグナーの「愛の死」が絶品である。本盤の録音は死のわずか数日前まで自宅にて行われたとのことだが、ここには老いや死などを感じさせるものは微塵も無い。本当に彼は最後のヴィルトーゾだったのだろう。かつて晩年の来日時のコンサートの評論として吉田秀和が「ひびの入ったホロヴィッツ」と揶揄して(確か同評論は大学入試の問題文としても採用と記憶)いたが、そのようなそぶりはいささかも感じられない。死を前にして神が与えた最後の光だったのだろうか。