【レビューNo.1845】裏道を行け
裏道を行け
評価★★★
著者は前々から申し上げている通り、評者の勝手ながらの人生の師匠の一人である。
昨今著者はサイコ的な方面の著作が多い(最も小説の登場人物はもともと心に何かを抱えた者が多かったが)が、本書もその例には漏れないだろう。
冒頭、かつてのアルファブロガー金融日記くんこと藤沢和希氏の恋愛工学小説から幕を開けるという意外な展開を見せるが、毎度の著者の博覧強記ぶりが嫌と言うほど見せつけられ(恐らく過去の著作でクレームでもついたのか、今回は各章ごとに引用について細かに書いてあるのが印象的だった)、お約束通りエヴァンゲリオンやガンダムのニュータイプにまで言及が及ぶ。
恋愛工学→金融工学(実は意外に興味深い内容が多い、ただしその結論は身も蓋もないものだが)と来て、その後は長大な精神工学の章立てとなっているのだろうか。
さんざん読者を振り回した挙句、著者は本書執筆のきっかけが評者の人生の教科書の一つが、最近執筆から20年を経て話題となり版を重ねていることだとあとがきで告白する。
そう、本書は評者の人生の教科書への長大な「まえがき」なのだ。そう思えば、正月早々のこの気味が悪い読後感もいささか和らぐというものだろう。
ひさしぶりに読み返してみるか。手元からは無くなっているがw