【レビュー№1810】スピリチュアルズ 「わたし」の謎

 

スピリチュアルズ 「わたし」の謎

評価★★★

長年個人的な「人生の師匠」として尊敬し感謝申し上げている橘玲氏の近著。著者は年間の約3分の1を海外旅行で過ごしているそうだが、コロナによりそれが不可能になったことにより、脳科学や心理学の方面の著作をむさぼるように読み続けていたうちに、大きな発見をしたのだという。

著者の過去の著作の中では長編のように感じるが、これでも本来書きたい内容の約半分に絞ったのだという。そのせいかどうなのかわからないが、結局著者が何を言いたいのかということが、いまひとつはっきりしない。まとめとしては、「あとがき」の部分になるのだろうが、よくよく考えればそれは著者が従来の著作から指摘していた「人間、自ら好きなことを続けることしかない(著者が言う「生涯現役で働かざるを得ないこれからの人生設計」を考えた上で必要なこと)」ということの裏付けであることに過ぎない。だからこそ、著者は非常なる高揚感を持って本書を書いているのだろうが。その「人生設計」は今後は所与のものと理解(ないし絶望)している評者としては、著者のような高揚感を本書からは感じられなかった。

このブログの人気の投稿

【レビュー№1258】これから3年 不動産とどう付き合うか

野口悠紀雄氏:インフレ目標2%は達成不可能

(2020/11/8更新)推薦図書10冊