【レビューNo.1676】新・生産性立国論
評価★★★★
かつての本邦バブル崩壊時に当時ハゲタカ外資と揶揄されてたであろうゴールドマンサックスのアナリストとして、不良債権問題を鋭く指摘した著者は、同社のパートナーにまで上り詰めるが、(さすがの相場観であるが)リーマンショックの直前に同社を去り、いつのまにか日本の文化財の守り手の一人となって活躍していたのは最近テレビ番組等で見聞きしていた。が、「あとがき」を読んで彼が本書は「34年間かけて日本を研究してきた集大成」と書いているの読んで、そこまで日本が大好きなのだなこの人はと思い直した。多くの金融関係者(特にバブル期現役だった人)には彼を忌み嫌う人がいまだに多いように思うが、政府や経済界、経済学者を含めて、真に真剣に34年も日本の将来のための研究をしている人間が果たしていかほど居るだろうか。ここは真摯にその主張を聞くべきかと思う。
人口減少が始まった日本に残された時間は少ないと彼は言うが、一方で世界最高レベルの日本の人材が普通の国で行われている普通のことをやれば必ず他国が羨むくらい復活するとも彼は言う。あとは、我々ひとりひとりがどう考えどう行動するかだけだと思うのだが。