【レビューNo.1622】日本人のための第一次世界大戦史

評価★★★★
かつて評者が「真の坂の上の雲」と高く評価させて頂いたベストセラー「日露戦争、資金調達の戦いで知られる板谷敏彦氏の新著評者とはネット上で長いことお付き合い頂いているのだが、いつもながらその驚くべき読書量と知的蓄積が、本書にも見事に結実している。それは、著者のblogにある本書の紹介記事にある参考文献の数の多さ(及びその参考文献がいずれも内容が濃そうなのも驚き)を見れば明らかだろう。
本書の内容については、上記の著者のblogの紹介記事に目次が載っているので、そちらで理解してもらいたいのだが、まあこれを見るだけでもよくもこんな大作をお書きになったものだと関心することしきり。タレブの「反脆弱性」やガットの「文明と戦争」が出てくるかと思いきや、本八幡駅には軌間の異なる3つの線が乗り入れているという「鉄分」豊富な小ネタまでまさに著者らしい展開。
先だって読んだ松屋銀座の宮崎カリスマバイヤーの本に「トレンチコートは第一次世界大戦時の英軍が塹壕(トレンチ)戦のために開発した外着」との記載があったが、その実態がこれほどまでに悲惨かつ長いものであったかと知るとため息が出そうだった。

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