【レビューNo.1579〜1582】モーツァルト:ピアノ協奏曲 内田光子 クリーヴランド管弦楽団
評価★★★★
以前に先行してジュノームと21番が入っていた盤は聞いていたが、内田光子のモーツァルトピアノ協奏曲録音が、自身の弾き振りオケはクリーヴランド管弦楽団で粛々と進んでいる。
内田光子でモーツァルトピアノ協奏曲と言えば、かつてのテイト・イギリス室内管弦楽団盤が完璧とも言える出来だった(評者も数枚所有)ので、いまさらまた?という感も無いではない。聴いてみるとかつての演奏よりはゆったりとしたテンポ。老いを感じないわけではないが、奏者のテクニックは依然健在。やはり、稀代のモーツァルト弾きであることを、再認識せざるを得ないことは間違いあるまい。
評者が学生時代ご指導いただいた故畑中良輔先生(オペラ歌手、音楽評論家、モーツァルトのオペラ本邦初演の全てのタイトルロールを演じるなど日本声楽界黎明期の功労者)曰く「モーツァルトの音楽には死の影がある」とのことだったが、よりそれを感じさせるのは今回の盤だろう。