【レビューNo.1545】安全保障は感情で動く
評価★★★
著者は昨今アゴラの安全保障ジャンルの執筆陣となった様なので、手にとってみた。当然とは思うが元自衛官(3等空佐で退役)で、ご出身が早稲田大というのは珍しいのだろうか。
まあ中身は読んでのお楽しみだが、北朝鮮と米国、中国と米国との間とでの戦争発生の可能性について書かれてある。著者の見立ては、強引にまとめてしまえば、そのいずれも可能性は低くないといったことになるのだろうか。
本書でも日高氏の著書にもあった様に戦争の定義の変更、いわば戦争2.0とでも言うべき時代の到来を感じる。すなわち、現代の戦争は陸海空三軍などに止まらず、宇宙及びサイバースペースまで含めた総力戦なのだ。その意味では既に米中戦争も始まっていると考えるのが妥当なのだろう。
なお、気になる北朝鮮については、体制崩壊により核兵器や生物化学兵器の拡散を防ぐべく、米韓両軍が北へ向かうシナリオを想定しておられる様である。トモダチ作戦も対北作戦の布石だと著者は看破するが、我々の知りようもないところで、事態は進行するのだろう。