【レビューNo.1506】なぜ僕たちは金融街の人びとを嫌うのか?
評価★★★
ハゲタカやるろうに剣心の大友監督が「ハゲタカの鷲津に会ってるようだ」と本書のことを紹介されていたので気になって手に取った。
ジャーナリストである著者は金融についてはまったくの素人。英紙ガーディアンのブログに匿名を条件に金融業界のことについて教えて欲しいという著者の質問コーナーが設けられたことから話は始まる。
結果、実際に面談での取材に至ったのが200人だそうだ。著者によればシティ勤務のバンカーの0.1%とのことであり、統計の母数としては少ないように思う。淡々とそのインタビューの記録が最初は書かれている。職種も業種もまったくランダムであるが、次第に著者なりのこの業界のイメージが湧いた中で、ある日ついにリーマンショックの本丸であるCDOの関係者との面談に、著者は漕ぎ着けるのだが、、、、、、、、、、
本書の冒頭と巻末あたりに「空っぽのコクピット」という表現が出てくる。著者は金融業界のことを実はパイロットのいない旅客機の様なもの結論づけたい様子なのだが、いわゆるエージェンシー問題は金融業界に限った話ではない(エンロン事件等々)のだから、それはやや短絡的である様に思うのだが、いかがだろうか。