【レビューNo.1459】住友銀行秘史
評価★★★
出版直後から金融クラスタを中心に爆発的に話題な書となり、いまや書店のベストセラーとなっているようだ。概要については例によって池田信夫氏の書評が的を得ていると考えるべきなのだろうが、とにかくある一銀行のお家騒動が延々と暴露されており、そこには経営学や経済学は無論、コーポレート・ガバナンスや法令遵守のかけらも感じられないのは西川善文氏の「ザ・ラストバンカー」と同じだが、本書は著者が克明に残した手帳記録(この年代のこの業界人にはこういうメモ魔が多いように個人的には思う)を時系列で追うことを基本としており、退屈な感じもしないではない。
いまさら貴重な歴史だからと言って本書の内容を読み聞かされても、個人的にはややありがた迷惑な気がする。ただし、こういった過去の積み重ねから多少なりとも我が国のコーポレート・ガバナンスや法令遵守は改善され、評者も個人的なところで微力ながらそれに貢献できたのかとの思いは感じた。