【レビューNo.1444】難民問題


評価★★★★
例によって池田信夫氏推薦図書であり趣旨は氏のレビューをご覧頂ければご理解頂けると思うが、要は難民問題がこれ一冊でわかるという入門書だ。
特に最近問題化しているシリア難民についてはアフガニスタン=>イラク=>シリアと難民問題の火種が次々と着火していったというのが著者の見立てのようだ。その結果、例えば勇猛果敢な国王で知られるヨルダンでは、673万人の人口に対して62万人のシリア難民が流入した状況であり、もはや人道主義などの綺麗事では片付けられない状況に陥っているのだという(同国は、パレスチナ難民211万人、イラク難民40万人を既に受け入れている上での話なので、事態は極めて深刻)。

現時点では「対岸の火事」でしかない日本での難民問題なのだろうが、著者は終章近くで日本にもあたかも簿外債務の様に近い将来発生する恐れのある難民問題があるという。言うまでもないが、中国と北朝鮮である。著者によるシミュレーションは本書を見て確認頂きたいのだが、もはや他人事ではないこの問題を概観しておくことは決して損ではないだろう。

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