【レビュー№1430】ナニワ金融道


評価★★★
昔から何冊からパラパラ読んだことがあったが、最近iOSアプリで無料で全巻読めるようになったと聞いたので読み始めたが、全19巻もあるとは知らなかった。最終巻の巻末に作者があとがきで書いてあるが、全ての連載が完了するまで7年もかかったのだという。ご苦労なことである。
舞台は本邦バブル崩壊直後の大阪なので、今になってはいささか古いと感じるところも多々あるが、商業金融の生きた教科書としては、いまなお価値はあるだろう。
聞くところによると、ある金融論の著名大学教授のゼミでは、本書が非公式な「教科書」となっているそうだ。当然だろう。
ざっと羅列してみると、信用情報、手形、不渡り、裏書譲渡、裏書人の権利義務、不動産登記(なお本作の当時は電子登記以前なので、今では絶滅したと思われる地面師などの死語も)、抵当権、短期賃借権、差押、不動産の占有、公正証書、商品先物取引、証拠金、追証、破産、夜逃げ、更正、士業の人による印鑑の偽装、反社会組織、それらによる拉致監禁、ネズミ講、新興宗教等々上げればキリがないのだが、作者はよく研究されていると感心することしきりだった。

もっとも、この作品に描かれている貸金業界の人々も、この後に訪れる貸金業法改正という激震までは予想できなかったことであろう。いつの世も、ブラックスワンは予測不能であるとふと思った。

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