【レビューNo.1415】太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで 上
評価★★★
「太平洋の試練」は全3部作(邦訳は6冊となる模様)の大著だが、気付かないうちに前回のミッドウェイまでを描いた第1部に次ぐ第2部が邦訳されていたのでまず上巻を拝見。
ガダルカナル島を巡る死闘、一連のソロモン沖海戦、アッツ島キスカ島などなど戦史マニアにはお馴染みの話が、米側の視点で語られているのは前作同様新鮮。冒頭あたりに書かれていたミッドウェイ海戦の際、実は米機動部隊の爆撃機以外に、空軍のB-17がほぼ同時に高高度から爆撃を実施(ほとんど着弾せず逆に味方機が被弾)し、海戦後空海軍双方が互いの戦果だとして紛糾(当初はB17の戦果と報告された)したなどの話は、現代社会でもあちこちで聞かれる「それオレ詐欺」を彷彿とさせ興味深い。
知られている様にミッドウェイで主力空母4隻を一気に喪失した日本海軍だったが、実はこの時点でも海軍戦力の点では、なお日米は互角だったと言う。その事がかえって、彼らを陸海空総合力による島嶼攻略戦という新たな戦略に転換していく契機となったのであれば、何とも皮肉なことだと思った。