【レビューNo.1395】人体600万年史(下)
人体600万年史(下):科学が明かす進化・健康・疾病
評価★★★
なでしこの大儀見選手が以前推薦していたハーバード大学人類進化生物学教授による上下2巻の大著。下巻は、人類600万年史のうち、農業を開始して以降の歴史と現代人に降りかかっている数々な健康上の不都合な事実についての著者の考察が続く。
最終章に著者はこう書く「私たちはやや太り気味の、柔毛のない、二足歩行の霊長類であり、糖と塩と脂肪と澱粉をひどく欲しがるが、食物繊維の多い果実や野菜、木の実、種子、赤身肉など、雑多な食物を食べるようにいまでも適応している。ゆっくり休んでくつろぐのは大好きだが、いまでもその身体はかつてのとおり、一日に何キロも歩いたり、頻繁に走ったり、地面掘ったり木に登ったり、ものを持ち運んだりするように進化した、持久力の高いアスリートの身体である。」
これを読んで、いかに現代人の生活が、不自然なものとなっているかは容易に想像がつくことだろう。それに対する対応策として著者が記していることは、いまひとつ実現性の乏しいものと評者には感じられたが、それは評者も含めて本書を読んだひとりひとりの読者が、自らのこととして考えるべきことなのだろう。