【レビューNo.1371】運は創るもの


日経新聞の私の履歴書に本作の原作が連載された頃、大きな話題になっていたことを今でも思い出す。評者は紙の新聞は取ってないのだが、Twitter等で朝方投資クラスタがつぶやいている状況からして、相当ヤバいことが書いてあるのだろうと思ったが、本書を読み終えてみると「お値段以上、ニトリ」を見事に自叙伝でも貫かれたことに敬意すら表さざるをえない。
親に殴られ続けた極貧の幼少期、ほぼオール1の成績(そう言えば、大横綱北の湖も体育を含めて成績オール1だったと記憶)だった小学生時代、カンニングで乗り切ったという学生時代、等々どれをとってもあまりにもあまりにも破天荒で、読んでいて笑いが止まらず、読んでるこちらが元気が出てくる。
著者は、困った時の銀行との交渉の際は、頬紅等で化粧をして明るさを前面に押し出して臨んだと言うが、おそらくそんなことは必要ないくらい明るい方なのだろう。
話題となった、親兄弟との相続をめぐる訴訟沙汰についても包み隠さず語られているのはさすが。著者も語っている様に、法人で事業を営んでいる方は、やはり早めに事業承継についての対策を打たないととんでもないことになるというまさに生きた事例だ(訴訟による不仲のため、今なお実家への立ち入りはおろか実父の仏壇を拝むことすら許されないと言う。)。
読めば元気が出ること間違いないオススメの本だが、意地悪なことを一つだけ言っておくと、本書とてブラックスワンタレブの言うところの「勝者バイアス」(評者注、左記リンク先は類似語である生存バイアスの説明記事)であることは、頭に入れておいたほうが良い。
著者によれば、本邦バブル期にニトリは本州への出店を計画していたが、建築費の高騰で諦めたという。その時、無理して出店していたらどうなったであろうか?
実際、後に主幹事証券の山一証券とメインバンクの拓銀をほぼ同時に失うという悲劇にニトリは見舞われていたのだから。

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