【レビューNo.1346】大事なことはすべて立川談志に教わった


大事なことはすべて立川談志に教わった
評価★★★
前回著者の二作目のレビューにも書いたが、著者は評者の学生時代の同期同窓で、同じゼミ(経済学部農業経済論)に所属していた。当時から大学の落研に所属し、熱心に活動されていたのは承知していたが、本当に落語家になったと聞いた時はかなり驚き、そして今回縁あって四半世紀超ぶりにその近況をお聞きして、噺家として大いに成功されておられると聞いて更に驚いた。
本書は、著者が故立川談志師匠に入門し、塾員(慶應義塾大学卒業者の意)として史上初の真打ちになるまでの血と汗の滲む戦いの記録だ。もっとも、著者ならではの「話芸」で、時に読者を笑わせ、時に泣かせ、といったサービス精神旺盛な作品ではある。
談志師匠のご指導は強烈だったようだ。それは冒頭にある入門の際に親子して挨拶に行った際の師匠の言葉「殺しはしませんから」して、明らかだろう。
どこの世界でも、プロを目指せばこの様な厳しい世界は待ち受けているに相違ない。前回のレビューにも書いた通り、評者は学生時代に故畑中良輔先生(文化功労者、モーツァルトオペラ日本初演のすべてのタイトルロールを演じた立志伝中のオペラ歌手)がご指導されていた合唱団に所属していたが、前レビューした畑中先生の著書に、師匠(故木下保先生)の厳しい指導でレッスン生が泡を吹いて倒れるシーン出てくるのだが、本書を読みながら何処の世界も同じなのねと思った次第だった。
翻って、いまの自らは当時の様なギラギラしたものを持って生きているであろうか?反省させられることしきりだった。ありがとう!ワコール君w

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