【レビューNo.1287】なぜローカル経済から日本は甦るのか
評価★★★★
池田信夫氏が過日本書のことを本年のベストの本だと絶賛していたので手に取った。読んでいる間に、ある方から結局本書は著者のなりわいを書いただけではないか?みたいな論評も小耳に挟んだ。確かに、冷たく言い放てば、冨山氏が再生に携わっている東北の路線バス事業会社の話が本書の大半を占めている。
私がネットで見聞きする限りでは、本書について神経質なまでに反応したのは、大学教育関係者だったように思う。それは、そうだろう。池田信夫氏が指摘するまでもなく、冨山氏が政府に提言した様にすべての大学がL型とG型に区分(ということは大半というよりほとんどすべての大学はL型になってしまうということに他ならない)されてしまえば、大半の現在の大学教員は生きる術を失ってしまうだろうからだ。
本書で著者はL型経済の生産性の向上こそが、今後の日本にとって重要だと看破する。上記の大学教育界の反応ひとつ見るだけで、その道のりは容易では無いと思われるが。