【レビュー№1285】フラッシュ・ボーイズ


評価★★★★
評者がHFT(高頻度取引という訳語でいいだろうか?)という単語を初めて聞いたのは、当時購読していたぐっちーさんのブログだったと記憶する。あれから少なくとも5年はたっただろうか?どうやら事態は更にエスカレートする一方のようだということが、本書を読んでわかった。
プロローグとして冒頭に、とにかくなるべく直線に光ファイバーを引くことでマイクロセカンドの世界での通信速度を上げることをビジネスとする人たちが描かれているが、これを聞いて思い出したのは、伝説の空売り王ジェシー・リバモアだった。記憶によれば、若き日のリバモアは当時ようやく敷設され始めた電信回線を巧妙に使い多大な収益を上げたと聞く。
要は、時代は変われど他者を出し抜くことが本質という資本主義のDNAはいささかも変わりないということだ。
ならば、我々ゴミ投資家としては、ネギを背負ったカモにならないことだろう。職務上デイトレードはご法度の評者であるから関係ない話だが、個人がデイトレードで勝てるとは、本書を読んだ後ではとても思えない。
この日本語版には訳者あとがきに加えて、「解説」が書かれているのだが、本邦個人投資家ならばこの解説は一読の価値がある。もはやフラッシュボーイズは日本人にとっても、他人事ではないのである。

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