【レビューNo.1262】「空き家」が蝕む日本


「空き家」が蝕む日本
評価★★★★
日経新聞の一面トップが空き家問題の記事だったという記念すべき日に、この題名の本読むことになったのも何かの縁だろう。以前にも書いたが、評者にとって著者は不動産の分野の勝手師匠的存在である。随分前に持ち家した際も著者の本を読んで、家賃相場等から合理的な値段の中古マンションを買い求めた。先日は、公開のセミナーの場にも参上して、その熱い話を直接伺うこともできた。最近は日経新聞のWEB版で定期的に寄稿されているので、大変ありがたい。
本書は題名からすると、空き家問題の本かと思いきや、著者が前から批判している不動産仲介業界の「両手」問題に始まり、日本の住宅の短すぎる寿命問題や、中古住宅流通の革命となるやも知れないインスペクション、はたまた著者が近時熱を入れているフィリピン不動産投資とその守備範囲は広い。
評者は著者の発言を日頃からフォローしているので、新味のあるものは正直少なかったが、長嶋氏のことをあまりご存知無い方は一読されて損は無いだろう。
本書の直前に野口悠紀雄先生のビットコインについての新著を読んだのだが、ビットコインによって不動産賃貸において、革命的な変化が起きうる例示が記してあった。
いつも半歩前を行っていると思われる著者の言説に耳を傾けるのも、悪いことではないと思うのだが。

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