【レビュー№1208】福島第一原発収束作業日記

福島第一原発収束作業日記: 3.11からの700日間
評価★★★★
事故前から現在に到るまで、福島第一原子力発電所の作業員として働く著者によるツイートを基にその「収束作業」の様を語った書。この題名の「収束作業」は著書による皮肉であり、現場で見ている人間にとって現状は「とても冷温停止した安全な状況には程遠い」としか思えないという感情の吐露だ。
興味深いのは幾度と無くしかも事故後の極めて初期の段階から、東電を破綻させて国家管理にしないといずれ汚染水の問題が深刻になると予言していたことだ。恐らく、その場に居る作業員達にとっては予言でも何でもなく、当然の帰結だったのだろう。
本書もまた名著「失敗の本質」と同じで、日本の組織の「現場は一流だが、指揮官は三流以下」を証明する格好の材料となってしまっているのは、残念な限りだ。
事故発生時から命を賭けて収束作業に当たってきた著者を含めた作業員や関係者のみなさんに、敬意を表したいと思う。本当にありがとう。

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