【レビュー№1207】太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下

太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで 下
評価★★★
太平洋戦争初期の米軍が苦戦を強いられた時期の日米両軍の戦いの様を描いた長編ノンフィクション。下巻のこちらは、ドゥリットル隊による東京奇襲から運命のミッドウェイ海戦までを描いている。
現代を生きる我々にとっても、参考や気づきとなることも数多くあるのが興味深い。例えば、連戦連勝だった日本海軍機動部隊が、ミッドウェイ以前にろくな休暇も与えられず疲弊し切っていたことや、一方で米側は疲労の見える提督をあたかも交互に休ませるように起用したことなどは、組織人として他人事では済まないエピソードだ。
ミッドウェイの敗因は名著「失敗の本質」で明らかにされてはいたが、本書の様にまるでその場にいるかのように描出されると、感慨深い。そして、ミッドウェイの結果もまた偶然が重なったものであり、必ずしも米側のパーフェクトゲームではないのだ。極東ブログ氏が主張されるように、本書は戦争に関心のある日本人にとっての必読書の一つとなるのかも知れない。

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