【レビュー№1191】風立ちぬ

話題のジブリ新作「風立ちぬ」を一家で拝見してきた。
何度も涙が出た。いい作品だったと思う。
まあ、なぜ主人公の声が庵野なのかとか、実際には酒もタバコもやらなかったらしい堀越氏が延々とタバコを吸うシーンを巡って騒動が起きるなど色々あるのだろうけど、やはり私の関心事は「なぜ宮崎駿氏が今これを創ったか?しかも、このストーリーで。」ということに尽きると思う。
ちょいと自分の仕事に関わる話であるが、相続の業界で使われる言葉のひとつに「遺書と遺言は違う」というものがある。遺書は例えば豊臣秀吉の「なにわのことも夢のまた夢」のような今際の際の最後の言葉であるのに対して、遺言はある種の指図書と言うことができよう。こちらのインタビュー記事での宮崎駿氏の発言を読んでいると、そろそろというか確実に人生の最期を覚悟し始めていることは明白だ。そういう意味で、本作は宮崎駿氏の「遺言」の一つなのだろう。
遺書と違い、遺言は後で何度でも書き換えができる(余談だが、本物の遺言も法的には最後の日付のものが有効である。よって、後日それを巡って紛議が起きることも多いと聞く。)。実務の体験から言うと、だいたい数年から5年に一度は遺言の書き換えの相談をされる方が多い様に思う。恐らく、これからもいくつかの「宮崎駿の遺言」を見させていただくことになるのだろう。それをまた静かに待ちたいと思う。

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