【レビューNo.1132】いすみ鉄道公募社長 危機を乗り越える夢と戦略



評価★★★★
千葉県にある第三セクターのいすみ鉄道の社長奮闘記。
いすみ鉄道は国鉄民営化前後に第三セクターとなった数ある赤字ローカル線のひとつに過ぎず、営業継続の是非が検討されていた中、社長が民間公募され、これに英国航空のしかるべき地位を投げ打って応募したのが著者だった。
本書の後半で明らかにされているが、著者は子供の頃からの鉄道マニア(SLの最終時期に北海道まで日帰りで行ったり、汽笛の音を聞くために北海道の駅に電話をしたなどの逸話が披露されている。)。その頃から国鉄マンになるのが夢だったのだが、就職時期に旧国鉄がストライキ等で労使関係が紛糾し新規募集を中止、泣く泣く就職をあきらめざるを得なかったという。
その後紆余曲折あって航空業界に身を投じるのだが、鉄道への思いは捨て難く、列車の運転席から撮影した画像をDVDにして販売する副業(当然会社の許可を得た上で)を行うなどして来たのだそうだ。
面白いのは、著者が社長募集への応募を決意したのが、その副業といすみ鉄道の事業規模がさほど変わらず、「これならできるかもしれない」と考えたことだ。
著者自身のこと以外にも知的障害のある方の「フレーミング的能力」を鋭く発掘し、サポーターとしてある業務に就いていただく事例など興味深い話が目白押しである。
鉄道マニアであるおじさんたちにとっては、たまらない一冊だろう。

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