(1/27修正あり)平成25年度税制改正大綱で個人的に気になる点

平成25年度税制改正大綱が明らかになった。
以下自分の守備範囲の分野だけw、備忘のため私的にまとめておこう。

1 骨子(所得税、相続税等)

(以下は税制改正大綱からのコピー抜粋のまま)

(1)所得税の最高税率の見直し
所得税については、これまでの大幅な累進緩和の結果としてフラット化が進
み、わが国経済に格差拡大の傾向が見られる中で、所得再分配機能が低下して
いる。こうした状況を受けて、所得税の最高税率の引上げを行う。その際、平
成 26 年4月からの消費税率の引上げや、平成 25 年からの復興特別所得税によ
る負担増等にも配慮し、特に高い所得階層に絞って一定の負担増を求めること
とし、平成 27 年より、現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得 4,000 万
円超について 45%の税率を設ける。
(2)相続税・贈与税の見直し
相続税については、地価が大幅に下落する中においても、バブル期の地価上
昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、課税割合が
低下する等、富の再分配機能が低下している。こうした状況を受けて、課税ベ
ースの拡大と税率構造の見直しを行う。
具体的には、平成 27 年より、相続税の基礎控除について、現行の「5,000
万円+1,000 万円×法定相続人数」を「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」
に引き下げるとともに、最高税率を 55%に引き上げる等、税率構造の見直し
を行う。その際、個人の土地所有者の居住や事業の継続に配慮する観点から、
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、居住用宅地
の限度面積を拡大するとともに、居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能と
する等の拡充を行う。
また、贈与税の最高税率を相続税に合わせる一方で、高齢者の保有する資産
を現役世代により早期に移転させ、その有効活用を通じて「成長と富の創出の
好循環」につなげるため、子や孫等が受贈者となる場合の贈与税の税率構造を
緩和する等の見直しを行うとともに、相続時精算課税制度について、贈与者の
年齢要件を 65 歳以上から 60 歳以上に引き下げ、受贈者に孫を加える拡充を行
う。
(貼りつけ終わり)

2 資産課税
相続税贈与税については、上記の骨子以外では以下の点が気になる。

(以下税制改正大綱コピーまま、(中略)の表記は管理人によるものです)


(2)小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、次の見直
しを行う。
① 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を 330 ㎡(現行 240 ㎡)ま
での部分に拡充する。
② 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居
住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
なお、貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算につ
いては、現行どおり、調整を行うこととする。
③ 一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親
族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取
得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が
居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする。
④ 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった
家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、
相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特
例を適用する。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。
(注)上記①及び②の改正は平成 27 年1月1日以後に相続又は遺贈により取得
する財産に係る相続税について適用し、上記③及び④の改正は平成 26 年1
月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用す
る。
(中略)
(5)相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行う。
① 受贈者の範囲に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人のみ)を追加する。
② 贈与者の年齢要件を 60 歳以上(現行 65 歳以上)に引き下げる。
(注)上記の改正は、平成 27 年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る
贈与税について適用する。
(中略)
3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
(1)概要
受贈者(30 歳未満の者に限る。)の教育資金に充てるためにその直系尊属
が金銭等を拠出し、金融機関(信託会社(信託銀行を含む。)、銀行及び金融
商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)をいう。)に信託等
をした場合には、信託受益権の価額又は拠出された金銭等の額のうち受贈者 1
人につき 1,500 万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500 万円
を限度とする。)までの金額に相当する部分の価額については、平成 25 年4
月1日から平成 27 年 12 月 31 日までの間に拠出されるものに限り、贈与税を
課さないこととする。
(注)教育資金とは、文部科学大臣が定める次の金銭をいう。
① 学校等に支払われる入学金その他の金銭
② 学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの
(2)申告
受贈者は、本特例の適用を受けようとする旨等を記載した教育資金非課税申
告書(仮称)を金融機関を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しな
ければならない。
(3)払出しの確認等
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類- 50 -
を金融機関に提出しなければならない。
金融機関は、提出された書類により払い出された金銭が教育資金に充当され
たことを確認し、その確認した金額を記録するとともに、当該書類及び記録を
受贈者が 30 歳に達した日の翌年3月 15 日後6年を経過する日まで保存しなけ
ればならない。
(4)終了時
① 受贈者が 30 歳に達した場合
イ 調書の提出
金融機関は、本特例の適用を受けて信託等がされた金銭等の合計金額
(以下「非課税拠出額」という。)及び契約期間中に教育資金として払い
出した金額(上記(3)により記録された金額とする。)の合計金額(学
校等以外の者に支払われた金銭のうち 500 万円を超える部分を除く。以下
「教育資金支出額」という。)その他の事項を記載した調書を受贈者の納
税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、受贈者が
30 歳に達した日に贈与があったものとして贈与税を課税する。
② 受贈者が死亡した場合
イ 調書の提出
金融機関は、受贈者の死亡を把握した場合には、その旨を記載した調書
を受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
ロ 残額の扱い
非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額については、贈与税を
課さない。
(5)その他所要の措置を講ずる。
(中略)
6 その他
(国 税)
(1)日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住
所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続
税又は贈与税の課税対象に加える。
(注)上記の改正は、平成 25 年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与によ
り取得する国外財産に係る相続税又は贈与税について適用する。
(中略)
(5)金銭又は有価証券の受取書のうち記載された受取金額が5万円未満(現行3
万円未満)のものには、印紙税を課さないこととする。
(注)上記の改正は、平成 26 年4月1日以後に作成される受取書について適用
する。
(貼りつけ終わり)

(以下追記)
3 個人的なるまとめ、チェックしておきたいポイント

  • 全般的にはリーク?等で出ていた情報とほぼ一致か?一部でうわさされていた保険の相続税非課税枠の拡大は見送り。
  • 小規模宅地評価減の特例は適用面積が240㎡から330㎡に拡大。
  • 二世帯住宅についての小規模宅地評価減については、要件緩和と解釈される(従来のような入り口が一つの建物でないと認めないなどの条件が撤廃された模様)
  • 老人ホームに入所した場合の小規模宅地評価減について明文化(介護のための入所で自宅を賃貸に出して無ければ可)。
  • 教育資金一括贈与が新たな制度として出現。=>金融機関(信託銀行?)に教育資金信託?なる新商品ができるのであろうか?支払いの都度、エビデンスの提示が求められる模様。


以上






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