国民年金に加入したほうがいいでしょうか?

橘玲さんご本人の記事のようだ。ご紹介しておこう。
(以下全文引用)

国民年金に加入したほうがいいでしょうか?: "

Q 会社を退職して今年からフリーエージェントの仲間入りをしました。国民年金に加入すべきかどうか悩んでいます。橘さんはどのようにお考えでしょうか?


日本の年金制度は複雑怪奇ですが、大きく3つの所得移転によって成り立っています。


1) 若者から高齢者への所得移転


よく知られているように、日本の年金は賦課方式で、現役世代が高齢者を支える仕組みになっているため、少子高齢化によって必然的に若年層の負担が重くなります。


2) 独身・共働きのサラリーマンから専業主婦への所得移転


サラリーマンの妻は第3号被保険者として、保険料を支払わずに年金受給権を得ています。専業主婦が受け取る年金は、独身や共働きのサラリーマン(ウーマン)が支払うことになります。


3) 厚生年金から国民年金への所得移転


日本の年金制度は自営業者などが加入する国民年金と、サラリーマンが加入する厚生年金に大きく分けられますが、じつはこのふたつは基礎年金部分でつながっています。国民年金で赤字が生じると、厚生年金で補填することになります。


この結果、現役世代のサラリーマン(ウーマン)は、(1)高齢者、(2)サラリーマンの妻、(3)国民年金受給者の年金を支えることになり、自分自身は生涯に支払った保険料よりもはるかに少ない年金しか受け取ることができません。


このように厚生年金は、加入者にとってきわめて不利な制度ですが、残念なことに脱退する自由が認められていません。


それに対して国民年金保険料は、年齢や所得にかかわらず定額なので、厚生年金のような理不尽な所得移転は生じません。


また将来の年金受給金額も決まっているので、誰でも簡単に(Excelさえあれば)運用利回り(損得)を計算できます。


さらに、国民年金の加入は法によって義務付けられていますが、サラリーマンのように会社が代理徴収できるわけではないので、保険料を払うか払わないかは本人次第です(だから未納問題が深刻になります)。


こうした国民年金の特徴から、厚労省はなにがあっても国民年金の運用利回りをプラスにしなければならない、ということになります。


もちろん将来的には国民年金保険料が増額され、受給額が減らされることもあるでしょう。しかしそれでも、この原則は変わりません。なぜなら運用利回りがマイナスになったとたん、保険料を払うひとは誰もいなくなってしまうからです。


損をするとわかっている商品にわざわざお金を払うひとはいません。この単純な事実から、国民年金は必ず得をする、ということがわかります。この原則が崩れるとしたら、日本の年金制度が破綻するとき(日本国が破産するとき)です。


日本が財政破綻する可能性がどれほどのものかはわかりませんが、ギリシアにせよ、韓国やアルゼンチンにせよ、過去に債務不履行を起こした国でも年金制度を廃止したところはありません。それを考えると、日本国が歴史上例をみない巨額の借金を抱えているとしても、国家破産によって年金がゼロになるリスクはかなり低いと思われます。


私自身は、国民年金保険料を払うのは勝つ確率の高いギャンブルだと考えています。すくなくとも、「自分年金」とかでわけのわからない海外のヘッジファンドにお金を注ぎ込むよりはずっとマシです。


*国民年金に加入すると、国民年金基金や個人型確定拠出年金で税制上の優遇措置を受けられるようになります。それを考えれば、国民年金に加入するアドバンテージはさらに大きくなるでしょう(詳しくは『貧乏はお金持ち』を参照)。


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