バーナンキFRB議長再任の是非、ルービニ教授らが論戦-NYT紙
記者:Christopher Wellisz
7月26日(ブルームバーグ):今回の信用危機を言い当てたことで知られる米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授(経済学)とエコノミストのアンナ・シュワルツ氏は、26日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の論説欄でバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の再任の是非をめぐり論戦を展開した。
ルービニ教授は、「恐慌寸前」の状態を回避したバーナンキ議長は再任に値すると主張。一方、ノーベル経済学賞受賞者の故ミルトン・フリードマン氏と米金融政策の歴史に関する共著があるシュワルツ氏は、政策の誤りやFRBの目標を明示できなかったことを理由にFRB議長は交代すべきだと述べた。
来年1月に任期切れとなるバーナンキ議長(55)は先週の議会証言で、金融の安定回復を目指したFRBの先例のない行動を弁護するとともに、「安定化への暫定的な兆候」が見られると指摘した。
ルービニ教授は「FRBの独創的で積極的な行動が恐慌寸前に陥るリスクを著しく低下させた」と述べ、「この理由だけでもバーナンキ議長は再任に値する。議長は1913年のFRB創設以来で最も急進的な経済的介入からの出口戦略を運営できる」と分析した。
同教授は投資銀行への融資やコマーシャルペーパー(CP)市場の支援、ベアー・スターンズとアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)に対する政府救済への参加、米国債と政府機関債、住宅ローン担保証券(MBS)など計1兆7000億ドルの購入方針といった「金融政策の伝統的手法によらない」政策を講じたことを評価。一方で、住宅不況とサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの危機では深刻さを予想できず、住宅用不動産市場の崩壊はリセッション(景気後退)につながらないと発言した点については批判した。
全米経済研究所(NBER)のリサーチ・アソシエートのシュワルツ氏(93)は、FRBがバーナンキ議長の下で住宅ローンの証券化商品の危険性を投資家に警告しなかったと批判。また、FRBが透明性の重要さに関する当局の主張に従って行動せず、「当局の目標をはっきりと示さずに」金融市場のボラティリティ(変動性)を高めたと指摘した。同氏は特に、FRBがベアー・スターンズ救済を支援した一方でリーマン・ブラザーズ・ホールディングス救済を支持しなかった理由を議長が説明していない点にも言及した。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 守護 清恵 Kiyoe Shugokshugo@bloomberg.net Editor:Keiko Kambara記事に関する記者への問い合わせ先:Christopher Wellisz in Washington at cwellisz@bloomberg.net
Last Updated: July 26, 2009 19:49 EDT