【マンキュー氏、池田信夫氏】経済危機と教科書
マンキューのNYTへの寄稿を、速攻で池田信夫氏が大意邦訳掲載されている。
やはり、世界標準の経済学者の見解であるところから、敬意を表して池田氏記事をそのまま転載させていただく。
(以下引用)
今回の危機を受けて、経済学の初等教科書は書き換えられるべきだろうか。Mankiwによれば、基本的な部分は変わらないが、いくつか修正が必要だという。
教科書も読まないで経済学をバカにする政治家には困ったものだが、経済学で不況が一挙に解決するかのようなリフレ派の主張も夜郎自大だ。経済問題のうち経済学で理解できるのは半分ぐらいで、そのうち経済政策で解決できるのは半分、つまり経済学は経済問題の1/4ぐらいしか解決できないというのが小宮隆太郎氏の意見だが、私もそんなものだと思う。
- 金融機関の役割:普通の入門書では金融システムはほとんど説明しないが、今回の事件でその重要性がわかった。それはガードマンみたいなもので、うまく機能しているときは誰も気にしないが、機能しないと大変なことになる。
- レバレッジの効果:資金を株式で調達するか負債で調達するかは初等教科書ではあまり気にしないが、実務的にはまったく違う。それは平時には資本効率を高めるが、有事には危機を拡大する。
- 金融政策の限界:不況になったら金融を緩和すればいいというのが普通の答だが、名目金利がゼロになったらどうすればいいのかはわからない。非伝統的な金融政策の効果も、まだ不明だ。
- 予測の失敗:経済学者が今回の危機を予測できなかったことは事実だが、それは多くを望みすぎだろう。医学が発達しても、豚インフルエンザを予測することはできなかった。経済学は水晶玉ではなく、経済現象を理解するツールにすぎない。
(引用終わり)