【レビューNo.1524】日本人が知らない「アジア核戦争」の危機
評価★★★
私らの年代の人にはおなじみの元NHKの「ワシントンの日高です」の著者による約2年前刊行の東アジアの軍事情勢についての解説書。
とは言え、著者の相当昔の取材(米空母やNORADやB2ステルス爆撃機等々の軍事施設そのものやキッシンジャー、シュレジンジャーや米軍幹部等々のお歴々とのインタビュー)に言及引用する部分も多く、現時点でどうなのかな?と正直思わなくもない。
意外だったのは中国空母遼寧が、深刻な欠陥を抱えていて事実上退役に近い状態にあり、これがため中国は通常戦力による進出を諦め、核兵器、宇宙兵器(衛星破壊)、サイバー戦争にのめり込んでいるのだと言う著者の見立てだ。
逆に言えば、通常戦力において米軍は無敵な状態と言えるわけで、そう思うと現下の北朝鮮情勢での米側の出方も理解できる気がする。それは取りも直さず、北朝鮮にとっては核とミサイルにしか生命線はないと言うことだ。
昨日の平壌の軍事パレード(評者は中継は見てないが)でも新型ミサイルで大騒ぎになっていた様だが、いわゆる通常戦力についてはまったく話題になってなかった(そもそも戦車や航空機は出てなかったのか?)ように思う。
それにしても本書によれば、1993年に米軍は北朝鮮の核施設を爆撃することを決断し、日本の基地からB52爆撃機が発進寸前だったと言う(カーター元大統領の北朝鮮電撃訪問により中止)。言っても仕方の無い話だが、あの時撃っておけば、そう思っている米軍幹部は多いのでは無いだろうか。