(2016/10/9加筆)【レビューNo.1316】データの見えざる手


評価★★★★
LINEの田端氏が本書を激賞されてて、手に取ったのがこの1月。以来、3回にわたって通読させていただいたが、なかなかにこのザ文系頭には難解な書。ただし、ビッグデータの応用と解析により、とてつもないことが、今起こりつつあることだけは、理解できた。
いわゆる伝統的な経済学では、合理的期待仮説を前提にしているのだが、それを木っ端微塵に打ち砕いたのが、カーネマンを始めとする行動経済学の人たちだろう。
本書はさらにそこから進んで、そもそも人間とてエネルギー保存の法則から逸脱することができず、人間の行動がそういったものによって支配され制限されているということが、ビッグデータの解析からうかがえるのだと言う。
その結果が、人間の行動はべき分布でないとする解析結果は驚くべきことなのではないのだろうか?
例えば、リーマンショクの折の株価暴落について、テールリスクが具現化したなどの解説をよく聞いたが、そもそも人間の行動が正規分布でないとすれば、この様なリスク管理の考え方は大幅な変更を余儀なくされるだろう。

(以下、2016/10/9加筆)
本書については「幸福とは何か?」についての一助にもなる。著者らのデータ解析によれば、「人間が動き続けること」こそが「幸せ」であり、そのようなことが起きている個人、組織は生産性が上がっていることが実証されているという。

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