ネクスト・マーケット―「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略、C.K. プラハラード
この本は、いずれ読むことにしよう。金融日記氏のブログから。
(以下全文引用)
(The Fortune at the Bottom of the Pyramid, Revised and Updated 5th Anniversary Edition: Eradicating Poverty Through Profits, C.K. Prahalad)
BOP(Bottom Of the Pyramid)―世界には1日2ドル以下で生活する人々が40~50臆人いる。実のところ人類の80%以上がこのような貧困層なのである。そしてこの世界的ベストセラーになった本には(増補改訂版が最近出版された)、そのBOPを利用して企業が儲けるための詳細なビジネス・モデルが綴られている。つまりBOPは将来大きな収益を生みだすネクスト・マーケットなのだ。
先進国の国民の多くがこういった途上国の貧しい人々を、哀れみ、あるいは援助の対象だと思っている。しかしそれは大きな間違いだと著者はいう。彼らは内に力を秘めた創造的な起業家であり、価値を重視する消費者なのだ。
現在のところ、多国籍企業の多くがこういった途上国に進出して、主にその安い労働力を利用してきた。そして途上国の住民はこうして急速に豊かになっていった。多国籍企業はこのように賃金が上昇すると、より賃金の安い貧しい国を求めてさらに生産拠点を動かしている。このように利益を追求する企業活動こそが貧困を解決するほぼ唯一の方法なのだ。
儲けがでない活動のすべてが持続的ではない。よって温情主義にもとづく援助はすべて失敗してきた。単純な援助ではまったく貧困を克服できないのである。市場原理の中で、継続的な利益を生み出すビジネス・オリエンテッドな活動だけが唯一成功してきたのだ。
本書は、途上国を先進国向けの製品を作るための安い労働力の提供先というよりは、むしろさまざまな製品を売り込む新たな市場として分析している。そのためのさまざまな企業戦略の理論と、実際にBOPの世界で成功している会社のケース・スタディが詳細に記述されている。それは先進国向けの製品を廉価版にして売ればいいという単純なものではない。
また市場原理をはたらかせるために、貧困国が克服しなければいけない統治力についても記述している。それには質の高い法律と、それを施工する力なのだが、貧困国の多くがこういった法制度のインフラが未発達で汚職がはびこっている。実際のところ、貧困国が貧困国である一番の原因はこういった法制度の問題であり、貧困は自らが招いた問題なのだ。本書ではそういった政府の機能を改善するための様々な試みも紹介している。
BOPでのビジネスに関心がある人は―日本の大企業のほとんどすべてだと思うが―ぜひ読んだほうがいい本である。また、貧困問題や格差問題を真に解決したいと願う人にも本書は非常に有益であろう。
"