「北京市は不動産屋に近い」

宋文州さんのブログの購読を開始した。
これは非常に面白い。ご一読をお勧めします。
(以下引用)

「北京市は不動産屋に近い」: "中国で最も著名なEMBA(エグゼクティブMBA)は北京大学のEMBAです。最先端のビジネス事例を研究し、同時に広い人脈を築くことができるため、多くの企業の幹部や経営者がここに集まります。

日系企業にも珍しくここに食い込んだ企業があります。了解をとっていないのでここで社名を伏せておきますが、総経理が私の逆バージョンで20年以上中国に居た方です。年が同じで共通の背景もあってその総経理さんとすぐ友人になれました。彼の紹介で北京大学のEMBAの副学長の徐教授とランチをしました。

北京大学は昔から「中国の良心」と言われてきただけの理由があります。言論も考えも自由かつ柔軟で時の政府や世論から自立しているのです。徐教授は人柄こそ柔らかい方ですが、その考えは実に尖がっておられます。以下に彼の発言をいくつか紹介します。

・「GDPは少なくてもいい。せいぜい国家として国際地位が少し低下するくらい。国際地位なんかは国民にとって何の役も立たない」
・「経済モデルにおいてアメリカは特殊な国。中国が目指すモデルではない。欧州や日本はもっとよいモデルだ」
・「安い労働力に頼る経済モデルにはそれを可能にした歴史条件がある。しかし、その歴史条件は確実に消えつつある」
・「中国の少子化問題は深刻だ。87年は出生率のピーク。あれ以来ずっと下がってきた。一方、もう一つの出生ピークは建国後の50年代。これからの10数年間にこの世代の死亡ピークもやってくる。激しい人口減が起きるだろう」
・「人民元は決して高くない。10万ドルを持ってニューヨークと北京で生活してご覧。ニューヨークの方がずっと楽だ」
・「過去30年間の経済成長はあくまでも人口増のお陰だ」
・「市場経済は拝金主義と同義ではない。アジアの市場主義にはもっと和の精神を取り込むべきだ」
・「歴史は皮肉なものだ。社会主義革命の後にも残った資本主義の香港。30年後、その香港が中国の市場経済の尖兵になった」
・「北京市は不動産屋に近い。財政収入の2900億元のうち、900億元が土地売却代金、1000億元が不動産関連事業。収入の2/3を占める」
・「当局による不動産市場の冷却政策は的はずれだ。信用を絞っても意味がない。不動産を押し上げてきた富裕層は現金で買うからだ」
・「ハードウェアのクォリティへの要求が世界的に下がっている。たぶん変化が速いため、長期利用が不可能だからだろう。SONYなどの製品がハイ・クォリティに集中し過ぎた。これがサムソンに市場を取られた理由だ」
・「20年後の世界においてはGDPの半分はアジアにあるだろう。ただし、平和が続く条件が必須だ」

経済政策において中国政府にも影響力のある徐教授ですが、彼はなんと2004年の時点からユーロにちなんで「亜円」を提案しているのです。しかもそのカバーの範囲は日中韓だけで良いというのです。

徐教授はいま、日中韓各15名ずつのEMBAクラスを検討中です。授業の場所も北京、東京、ソウルの3箇所に移動して行なうそうです。別に頼まれた訳ではありませんが、興味のある方はメールをください。ご紹介だけはいたしましょう。

P.S.
徐教授を紹介してくださった日本の会社は大変伸びています。年間3割の売り上げ増はもう当然という感じです。市場が激しく成長しているのもありますが、キーワードはやっぱり人材ですね。総経理は20年前から居た方で中国語がぺらぺら。それだけではなく、彼が感覚的に中国人と溶け込んでいます。トップの董事長は本社の専務でもあり中国在中して即決。海外経験が長くユーモアで判断が速い。会社も人間も惚れますね。
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