電子書籍化は究極の「電子万引き」、それとも究極のビジネスモデル?
ウェブサーフィンしていたら、電子書籍化サービスの「スキャポン」というのを発見。
持っている本を宅急便で送ったら、スキャンして電子ファイル化してくれる、というサービス。
iPadのデビューで、電子書籍化のニーズが高まっている上。
日本では本の電子配信が遅れているので。
凄く可能性のあるサービスに思われるが。
これって、究極のビジネスモデルとも考えられるが。
よくよく考えてみると、やりようによっては「究極の電子万引き」になりえるんじゃない?という疑問が頭をよぎる。
(「スキャポン」さんを貶めているわけではないので、念のため。)
だって。
電子書籍化サービス内容を見てみると、やろうと思えば「究極の電子万引き」ビジネスモデルも可能のように思えるから。
「スキャポン」さんのサービス内容の一番上には。
自分の持っている本ではなく、これからAmazonなどで買う新しい本をスキャンして送ります、というサービスが出ている。
具体的には。
Amazonで購入した本の受け取り先を「スキャポン」にして、即PDF化してもらう、というサービス。
これ、実はものすごく利益率が高いサービスになるような気がしてならないのだが。
ある意味、「究極の電子万引き」ビジネスモデル、というと言い過ぎか。
というのも。
電子書籍化を依頼する人は、基本的に現物の本を所有してもかさばって邪魔だし、持ち運ぶのがめんどくさい、という人が多いはずなので。
発注した本を引き取らない、という人が多いはずのように思われる。
すると何が起こるかというと。
電子書籍化サービス業者の手元に、大量の新刊本が残ることになる。
そして購入者の同意の下に、電子書籍化サービス業者がその新刊本の処分権を持っているとすると。
たとえばこういうこと。
「1Q84 BOOK3」(定価1890円)の電子書籍化サービスを10万人が申し込む
↓
最初の1冊を電子書籍化サービス業者がスキャンして最初の1人にファイル送付
↓
その後一度焼いたPDFファイルを残りの9万9999人に使い回す
↓
1冊の中古の「1Q84 BOOK3」と、9万9999部の新品の「1Q84 BOOK3」が業者の手元に残る
↓
新品の「1Q84 BOOK3」を、定価で処分
↓
粗利は90円のスキャン料金の10万人分と、9万9999部の「1Q84 BOOK3」の売却代金
↓
900万円+1億8900万円、合計約2億円の儲け
ね、これって凄くない?
著作権の問題があるのでは?という人がいるかも知れないが。
「1Q84 BOOK3」の電子書籍化サービスを頼んだ人の数だけ、本を実際に発注していれば。
そして、その人たちから処分を依頼されていれば。
古本の売買が合法である以上、著作権の問題はなさそう。
「9万9999部の「1Q84 BOOK3」の新刊を売りさばく価格リスクがあるのでは?」という疑問も出てくるが。
そもそも処分権はタダで貰えるので、仕入れ値はゼロだから。
少々安値で売りさばいても、超儲かるはず。
定価1890円の本が、新品で1500円で手に入れば満足な人はたくさんいるだろうし。
それでも10万人が申し込めば、粗利は1億6000万円。
もっと過激なビジネスモデルにすると。
「1Q84 BOOK3」の最初の1冊を、Amazonのマーケットプレイスに自分で出店して1500円で出品
↓
電子書籍化サービスを希望する人に、その自分で1500円で出品した「1Q84 BOOK3」を落札してスキャンのために送付するよう依頼
↓
Amazonマーケットプレイス経由で本の売り上げ1500円を稼ぎ、スキャン料金90円を得る
↓
その本をまた同じ価格でマーケットプレイスに出品
↓
以下無限ループ
これであれば、実質1冊の本が10万回ループのなかで高速回転することによって。
スキャン装置とウェブサイトと1冊の本と無料のドロップボックスサービスとPaypalシステムがあるだけで。
あっという間に、約1億6千万円の粗利のできあがり。
ちゃんと現物の本の売買が伴っているので、著作権上の問題もないように思われ。
(もっというと、上記発注のためのブラウザー機能+電子書籍ファイルダウンロード機能+本棚的ファイルマネジメント機能+課金機能をパッケージにした無料アプリをiTunesでiPad用に配信すれば、完璧なビジネスモデルかも)
これって究極のビジネスモデルですか?
それとも究極の(合法的)電子万引きですか?
(繰り返しますが「スキャポン」さんのサービスが「電子万引き」だといっている訳ではないので、念のため。)
1890円払って「フリー」という本を買わされたというシュールな体験を持つ私の、私的な考察ですが。
(値段分の価値はある本でしたが)
「フリー」クリス・アンダーソン著、1890円、2009年11月