「日銀の新貸出制度」
牛熊さんのブログからご紹介
(以下一部引用)
日銀は金融政策決定会合で「成長基盤強化を支援するための資金供給」についての概要を発表した。貸付総額の上限3兆円とし、貸付先毎の貸付額の上限は1500億円、貸付実行日毎の貸付総額の上限は1兆円、そして成長基盤強化に向けた取り組み方針に基づいて貸付先が行う期間1年以上の融資または投資についての新規実行額相当額とする。また、受付期間を平成24年3月31日以前とした。また、この資金を使っての融資先としては研究開発、起業、事業再編など18分野を提示したが、具体的な制限等は出していない。
今回の日銀の新貸出は金融政策からはやや逸脱したものと言わざるを得ない。金額の上限も3兆円ということで金融緩和策ではなく、あくまで政府の経済成長戦略と呼応したものである。金融機関経由ではあるが特定分野への融資を促進することを中央銀行が行うことは極めて異例である。ただし、政府のデフレ対策に日銀も協力する姿勢を示す必要もあり、そのための施策にも限度があり、今回の政策が取られることとなったとみられる。
これにより多少なり景気に働きかけが可能となれば、金融市場への影響もあるかもしれないが、その効果については現状、不透明であり、市場への影響は限られたものとなろう。
今回の新貸出制度がすでに日銀の本来の業務から逸脱してきているとの指摘もある。すでに緩和策には限度もあり、やや手を変えての政策ともとれるが、今後の政策については注意を払う必要もありそうである。