ジム・ロジャーズ―次の急成長分野を先に知るには

ジム・ロジャーズのインタビュー記事がロイターに出ていた。以下に引用しておこう。
(以下引用)

投資した6社すべて倒産したこともある

投資家 Jim Rogers ジム・ロジャーズ●米国アラバマ州生まれ。ジョージ・ソロスと投資会社設立後、37歳で引退。バイクと車で2度世界一周を果たす。
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投資家 Jim Rogers ジム・ロジャーズ●米国アラバマ州生まれ。ジョージ・ソロスと投資会社設立後、37歳で引退。バイクと車で2度世界一周を果たす。

マーケットを先読みするためには、まず過去を知ることが重要です。なぜならば、歴史は繰り返すからです。たとえば「インターネット革命」によって生まれたネットバブルが弾けたのは記憶に新しい出来事ですが、歴史を振り返ると、鉄道、電気、ラジオ、電話、テレビ、コンピュータなど、目新しい技術が生まれるたびに我々は似たようなことを繰り返している。これまでとは違う革新的な市場が生まれたと考え、お金が市場にあふれるバブルが起こり、そして崩壊する。違うのは技術の名前だけでたどる道程は同じなのです。

先読み力を鍛えるには、歴史書や哲学書をたくさん読み、どのように世界が動いてきたか、世の中がどのような仕組みで成り立っているかを理解する必要があります。大局を見る力が身につけば、いま自分たちがどの位置にいるかがわかるようになり、それが正しい判断に役立つのです。

ところが、我々が過去の経験から学んでいないのは最近の世界情勢を見ても明らかです。1990年代の日本では、経営破綻した企業や銀行に公的資金を注入してゾンビのように甦らせました。結果、根本的な問題は何も解決しなかったのに、同様の動きが、いまアメリカで起こっている。同じ過ちを繰り返そうとしているのです。

もちろん、同じ歴史書を読み、同じ話を聞いたとしても、全員が正しい判断をできるわけではありません。相場を正しく読めるのは、100人のうち、せいぜい3、4人で、ほとんどの人は間違った判断をしてしまう。考えてみれば当然のことです。そうでなければ、投資した人はみな金持ちになってしまいますからね。歴史を教えることはできても、判断の仕方を伝授することは難しい。「正しい判断」を学ぶには、実際に投資をして経験を積むしかありません。

特に重要な経験は失敗から学ぶこと。私も何度も失敗しましたよ。6つの銘柄の株式に投資し、数カ月で2倍になったものの、最終的には6社すべてが倒産したこともあった。常に生き物のごとく変化するマーケットでは、こうしたクレイジーなことが起こるのです。

そのとき学んだ教訓は、投資には念入りなリサーチが必要だということ。自分では調べたつもりでしたが、十分ではなかった。当時の私は自信過剰で傲慢だったのです。また、自分の足で情報を集め、自分の頭で考えることも肝に銘じるべきでしょう。ブローカーの言葉、メディアを通じて得た情報だけに頼ってはいけません。

株と商品の時代は交互にやってくる
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株と商品の時代は交互にやってくる

株式投資をするなら、世界の大きな流れを把握することに加え、会計学の知識も必要不可欠です。企業のバランスシートを読み解き、そこに不正がないかどうかを見極める――努力は必要ですが、それほど難しいことではありません。私は独学で会計学を学びましたからね。

商品(コモディティ)の場合は、株よりもシンプルです。たとえば天然ガス会社の株を買う場合、財務状況はどうか、経営はどうか、その国の政治的、経済的な状況はどうかなど、考慮すべき点がたくさんある。でも、商品なら、たとえば天然ガスの供給は需要に対して多いか少ないか、それがわかれば儲けることができるのです。私なら、天然ガス会社500社を比較検討するより、天然ガスそのものを買いますね。エンロン事件を思い出してください。同社の株を買った人は大損しましたが、天然ガスの価格そのものは、あれから約3倍になっているのです。

今後10年は商品の時代が続くでしょう。もちろんアジアの株式も有望だと思います。日本、中国、韓国、台湾、シンガポールと主な債権国がアジアに集まる一方、債務国は欧米に偏っている。ここ数年、私は手持ちの米ドルをどんどん売っていますよ。

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