【再掲】ブラックスワンのない世界に向けての10原則


先ごろ、タレブがFT紙に長文の寄稿をしたようだ(ちらっと、ネットで見かけた記憶はある)。
ありがたいことに、ROMさせていただいている厭債害債(或は余は如何にして投機を愛したか)さんがこちらで翻訳をされていた。

(以下上記翻訳の引用)
”Ten principles for a Black Swan-proof world”(FT4月8日付より) 「Black Swan」や「まぐれ」で有名なNassim Nicholas Taleb氏がFTに書いてました。 
1. 脆弱なものはそれが小さいうちにつぶせ (現代では大きな組織に大きなリスクが隠されやすくなる。Too big to failなどという開き直りを未然に防ぐということです。)
2. 損失の社会化と利益の私物化を組み合わせるな (この組み合わせは資本主義と社会主義の悪いところの組み合わせですね)
3. 目が見えないのにスクールバスを運転していたやつ(そしてぶつけたやつ)には新しいバスを運転させるな (これまでえらそうなことを言っていても、システム崩壊を未然に防げなかった学界、規制当局、中央銀行、政府役人、エコノミストを擁する多くの組織などへの厳しい非難です) 
4. インセンティブ・ボーナスを受け取れる立場の人間に原子炉を操作させるな (保守的という言葉を使いながら利益のために安全装置をとりはずしてしまったことへの反省。ボーナスシステムは今我々が置かれている状況とまさに表裏一体のものである、という批判であり、インセンティブをつけるならディスインセンティブもつけるべきだ、というきわめてまっとうな意見を彼は述べている)。 
5. 複雑さは単純さをもって制すべし (グローバル化がもたらす複雑さに対して、金融の世界は単純さをもって対応すべし。つまり道具まで複雑にしてしまうから、事故が起こりやすくなるということでしょう) 
6. いくら警告書が付いていても子供にダイナマイトを渡すな (そもそも複雑なデリバティブはほとんど合理性も薄く、禁止すべきという主張である) 
7. 「信頼」が必要なのはインチキスキームだけだ。政府は「信頼の回復」など求めてはならない (うわさの連鎖は複雑なシステムの産物であり、うわさの発生を止めることは出来ないが、我々はうわさを笑い飛ばす度量がひつようである。) 
8. いかに禁断症状が激しくとも、麻薬中毒者にさらに麻薬を渡してはならない。 (過剰なレバレッジが原因で引き起こされた問題をそれ以上のレバレッジを用いて解消しようとしても、無駄であり、リハビリこそ必要である)
 9. 市民は退職後の生活に「金融資産」やいい加減な「専門家」のアドバイスを当てにしてはいけない(経済生活は金融の世界から距離を置くべきだ。金融市場を価値の保存場所と考えてはならない)。
10. 壊れた卵でオムレツをつくろう (今回の危機は簡単な修理で収まるレベルではない。船で言えば穴の開いたところをふさぐのではなく、はじめから船そのものを建造しなおすべきだ。壊すべきものを壊し、負債を資本に転換し、経済学やビジネススクール出の連中を隅に追いやり、ノーベル経済学賞など廃止し、LBOを禁止し、銀行員を本来の仕事に戻し、今の惨状をもたらした連中からボーナスを取り戻し、不確実性の中を旅するすべを人々が知りうるような、資本主義2.0バージョンに自ら進んでいく必要がある。) (注:カッコ内は記事の要約です)

(引用終わり)

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