【レビュー№1275】世界経済危機は終わった
評価★★★
書店での在庫の減りが急だったので人気の書物なんだろうと思い、図書館で予約をかけたまま忘れていたのだが、ようやく順番が回ってきたのだが、ちょうどそのころきんざいのメルマガで金融庁の大森局長が本書をレビューされておられた(局長は本書に対してかなりの違和感を表明されておられる)。
では、私はどう思ったのかということだが、それはひとことで言えば本書の最後の最後に書かれていることだ。著者は今般の未曾有の危機が大恐慌のような破滅的な事態に陥らなかったのは、民主的に選ばれたリーダーのおかげではなく民主的に選ばれたわけではない中央銀行の銀行家達によってなされたと結論づけており(それはリーマン直後のTARP否決を生で見ていた人間なら理解できるだろう)、危機は去ったがこれから国際的なリーダーとその資質についてはネガテイブな予感を持っているようだ。
経済学は大恐慌の折の反省を踏まえて、今回は少しは役立ったのかも知れない。しかし、もしかするとそのことが、別の部分での不幸の始まりとなるかも知れない。ひょっとすると中東やアフリカで起きていることも、そういったことが回りまわっているのではないだろうか?