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【レビュー№1796】頭上の敵機

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  頭上の敵機 評価★★★★ 少し前にNHKのBSで放映されていた録画をようやく拝見した。 前半は、グレゴリー・ペック演じる司令官が鬼のような厳しさで、落第のレッテルを貼られたB-17爆撃隊を叩き上げる姿が描かれ、やはりリーダーはこうでないとだめなのかと思って見ていると、自ら出撃し操縦席から部下が戦死する様を見るにいたり、司令官は人知れずプレッシャーを感じるようになり、ある日ついに出撃直前に心身に異常をきたしてしまう。 このあたり、この直前に読んだ 「 証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち」 にあったように零戦搭乗員が全員何らかの心身の異常をきたしてしまう経験をしていることと共通していて、興味深い。 戦争が残酷なのは、軍民を問わず命を落とす者がいることだと考えていたが、今回この映画と「証言 零戦」を拝見するに至り、そこで生きている人たち、生き残っている人たちにも重荷を背負わせてしまうことなのだろう。 そして、それは程度の問題はあれ、人間が生きている限り、平時の我々の生活においても存在するのだろう。まさに「にんげんだもの みつを」の世界とは思うが。

【レビュー№1795】証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち

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  証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち 評価★★★★ 本書の題名は言うまでもなくあの坂井三郎氏の名著「 大空のサムライ 」に因るのだろうが、我々が知らないだけで現実には大空のサムライ(太平洋戦争中の零戦搭乗員)は山のようにいらっしゃるわけで、著者は戦後50年の1995年頃から、生き残られた零戦搭乗員の取材を細々と続けていたのだという。もはやほとんどの方が鬼籍に入られている(本書で紹介されている搭乗員の方も現時点で存命の方は一名のみのようである)ことを考えれば、著者の記録は戦史上においても貴重なものと言えるだろう(例えば、真珠湾攻撃に参加した攻撃隊員によれば、第一次攻撃の際に既に激しい対空砲火に見舞われており、本当に奇襲であったかは疑わしいとの見解を持っている者が多かったという)。それにしても悲惨極まりないのは零戦搭乗員の実に8割が戦死したという事実だ。本書に紹介されている搭乗員の方も、みな子供の頃から飛行機に憧れて、何十倍もの厳しい競争を勝ち抜いて戦闘機乗りとなられたと書いておられるので、そんな夢を抱いた若者がかくも厳しい運命に翻弄されていたというのは読んでいてつらくなる。現に紹介されている搭乗員の方のほとんど全員が、いずれかの期間中において心あるいは体に異常をきたして、あるものは途中で、あるものは最後に戦線離脱を余儀なくされているのだ(また、それがために生き延びたというケースも多々あったようで、ご本人たちの心理はいかばかりであったろうかと思う。)。 先ごろ、テニスの大坂なおみ選手が、長きにわたるうつ病との闘病について告白したと聞いた。真剣勝負で死にものぐるいの戦いをしていれば、誰しもなにがしかの異常をきたすのは当然なのだ。それははずかしいことでもなんでもない。人間であれば当然のことなのだ。そして、人間である我々の誰しもがそうなのだ。本書は、そんなことを再確認させてくれた。

【レビュー№1794】「3行日記」を書くと、なぜ健康になれるのか?

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  「3行日記」を書くと、なぜ健康になれるのか? 評価★★★ 自律神経研究の権威である小林弘幸先生は山の様に本を書かれている方であるが、数多ある著書を読むとどれにもほぼ必ず本書のテーマである「3行日記を書きましょう!」ということが書いてある。 あまりにしつこいので評者も3ヶ月くらい前から重い腰を上げて始めてみたのだが、確かに主にメンタルの面で改善を感じるので、その理由を探るべく本書を手に取ったのだが、毎度の他の先生の著書と同じで「これはいい!」ということは書いてあっても、なぜいいのか?ということの学術的ないし科学的な説明が無い( 以前ご紹介した自律神経に効く音楽の本 もそうだったwww)。 7 年も前の本なので、「サッカーの本田圭佑や中村俊輔も小さい頃から日記を続けている」との話が、書中何度も出てくる。サッカーマニアの一人としては、それで本書の主張に納得してしまう部分も無いわけではないが。

【レビュー№1793】最新版 就活難民にならないための大学生活30のルール

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  最新版 就活難民にならないための大学生活30のルール 評価★★★ 野口悠紀雄先生の名言に「図書館の返却で戻ってきた本が置いてある棚にある本は当たり」というのがあるが、本書も地元図書館のいわゆる返却棚で発見した一冊だ。 著者の名前はネット初期にはよく見かけたが、最近はあまりお見かけしない気もしつつ、評者もそろそろ子供が就活が視野に入ってきたこともあって借りてみたところ、家族みんなに好評だったのでAmazonで中古本を買った(なお、既に新刊は絶版のようである)。 女房と子供からの相談は「就活のためにどんな資格を取ったらいいのか?」ということだったが、本書には資格のしの字も出てこない。勉学、サークル、バイト、恋愛含め、全力に事に当たり、人様にそのことを説明できるくらい集中してやっておかないと、就活の面談の時に行き詰まってしまうよ、といった書きぶりになっている。 私もそうだと思う。学歴や資格を採用するのではなく、その人を採用するのだから、その人が何を語るかがすべてだと思うのだ(若い頃に2年ほど採用の手伝いをした経験からもそう思う)。変な資格取得ビジネスにかからないことを切に願うばかりであった。

【レビュー№1792】金融機関職員のための相続・遺言・遺言信託入門

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  金融機関職員のための相続・遺言・遺言信託入門 評価★★★ 2ヶ月以上前から購入していたのだが、どうしてもこういう業務上の本を読むのは後回しにしてしまう現象は何と言うのだろうかw 帯に書かれているように「相続関連業務に携わる方必携の1冊」という触れ込みそのままの内容だが、本書にも書かれているようなここまでこじれたケース(本書は事例に対するQ&Aの形で書かれている)は、非弁行為の観点からお断りしてる場合が大半だろう。まあ、そのセンサーすら持ち合わせてなく業務をやっている人がいるとすれば読むべきだとは思うが。 表題業務が主任務の金融機関の人が、いざ時に備えて机の中にしのばせておく1冊ではあろうとは思う。

【レビュー№1791】花は咲けども 噺せども

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  花は咲けども 噺せども 評価★★★★ 毎度申し上げている通り、評者は作者である立川談慶師匠と学生時代の同期同窓(同じゼミ)である。私は名前だけのゼミ代で、ゼミのみんなには、ほんと迷惑な存在だったかと思う。そんなゼミの一員として、落語研究会で活躍する作者が居た。卒業後、ワコールに就職したと聞いていたが、それから幾年かして、「立川ワコール(当時)」と言う名の落語家になったと風の便りに聞いて驚いたのが昨日のことの様な気がする。 その後の長きにわたる研鑽が身を結び、塾員(慶應義塾大学卒業者を意味するテクニカルターム)として史上初の真打ち落語家となった(その辺りの経緯はかつてご紹介した 作者のデビュー作 に詳しい。なお、こちらも面白いのでご一読をオススメする。)。 同期同窓なので、同じように歳を重ねて行く作者の今回の小説家としてのデビュー作を読むと、かつての著作やFacebook上で聞いたあれやこれやの話を思い出して感慨深い。もっとも作者は「これはフィクションだよ」と念押ししていたが。 とにもかくにも落語家の方の作品なので、大笑いと大泣きが交互に襲ってきて読んでいてこれほど楽しいことはない。コロナ禍で我々から奪われた色々なものを、小説の世界で取り戻してくれる作者の小説家としての筆致は、失礼ながら私の予想に反して素晴らしいものだった。これも、「長すぎた前座時代」のコツコツがもたらしたご褒美なのだとしたら、なんと人生とは難しいものだろうか。 まあ、私のこんな駄文を読んでる暇があったら書店か Amazon で本書を買って読むことを強くお薦めする。人が生きることが、いかに愛おしく、そして笑いと涙に満ちたものであるか、コロナ禍でいつのまにか失いかけていたものを思い出させてくれる。お節介なほどの怪力で、背中を押してくれる感がある(作者は落語界随一の筋トレマニアである www )。

【レビュー№1790】ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」・第8番「悲愴」・第23番「熱情」

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  ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」・第8番「悲愴」・第23番「熱情」 評価★★★★ もはや録音から60年以上の日が経っているというのに、いまだにこうして新譜が出るということが、バックハウスのベートーヴェン3大ソナタの本録音が名演中の名演ということの証左だろう。 デジタル・リマスタリングがなされているとのことだが、聞いてみるとやはり昔日の録音であることを感じることは仕方あるまい。 しかし、これをオーソドックスと言わずして、どの演奏をオーソドックスということになるだろうか。ここには誰しもがそうであろうと思い描いている月光や悲愴がある。たまにはグールドの尖った演奏を聞くのもいいかも知れないが、人知れず夜に心落ち着けて聞きたくなるのはこの盤だろう。クラシックにまったく関心の無いはずの家内から、珍しく自分のiPhoneに音源を落としてくれと頼まれたことが、それを物語っているに相違ない。