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【レビューNo.1466】人口と日本経済

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評価★★★★ 例によって 池田信夫氏推薦図書 であるが、この本は面白い。今や日本国中が少子高齢化症候群に陥っているように思うのだが、著者はこの考え方を「退嬰的」だとして批判する。過去の歴史を振り返れば、経済に影響を与えたのは人口ではなく、労働生産性の向上であったことは明らかだと著者は言う。また、ともするとフロンティアは失われてしまっておりこれ以上のイノベーションは願うべくもないと考えがちな我々に対して、例えば「赤ちゃん向け商品と思われていた紙おむつが今や老人向けのものの方が出荷額が多い」といったこともイノベーションのひとつなのだとして、今後も労働生産性向上の可能性はあると説く。本書によれば、平均寿命と一人当たりGDPの間には優位な正の相関があるのだそうだ。 池田信夫氏が言う ように、問題は人口なのではなく(イノベーション促すような)制度設計であることは自明であろう。

【レビューNo.1465】文藝春秋 2017年 01 月号

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評価★★★ 本号に浜田宏一先生の「変節」についての寄稿がされていると知り、珍しく購入(よって当該記事以外の内容は承知してないのでご了解を)。 その記事については、例によって 池田信夫氏が解説記事 を出されているので、結論だけを知りたい方はそれを読んで頂きたいが、それが結論だとするとこの寄稿は誰に対して何を言おうとしているのか首を傾けざるを得ない内容の様に思う。特に冒頭引用されているケインズの言葉「僕は、状況が変われば意見を変える。君はそうしない?」は一体何なのだろうか? 昨日ご紹介したグレーバーの「負債論」の解説記事 と併せ読むと、恐るべき未来が接近しつつあるように思えて、背筋が寒い。

【レビューNo.1464】現代思想2012年2月号 特集=債務危機 破産する国家

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評価★★★ 池田信夫氏がグレーバーの「負債論」を絶賛 されているようだが、大著な上に現在書店等では売り切れの様子。 原著のレビュー欄 に本書に解説記事が寄稿されていると知り購入した次第。しかし、この解説記事もなかなかに難解(というより原著が難解なのだろうけれども)。この記事から原著の全体像を想像するのはなかなか難しいが、要は負債(借金)は定期的に踏み倒すことが常であったのが人類学上の常識であったとグレーバーは言いたいようである(ご存知の通り、彼はオキュパイウォールストリート運動の理論的支柱)。 ただ、例えば日本においては、国自体が負債にまみれてしまっており、これをどうすればいいのかということについては、ちょっとこの記事を読んでも思いつかない。グレーバーが主張するように、踏み倒すことが正当化するというのが答えなのかも知れないが。

【レビューNo.1463】甦る昭和 迫力の蒸気機関車 D51サウンド決定版

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評価★★★ 期間限定でAppleMusicの無料会員になっているので、この機に色々な音源を聴いているのだが、蒸気機関車で検索してヒットしたのがこちら。 Amazonのレビュアーの方の話 によると、元々LP盤で出ていたものがCD(廃盤のようだが)化の際に、デジタルリマスターがなされているらしく、おそらくは1970年台の音源と思われるのに極めてクリアーな音が残されているのはうれしい。 単なる走行音だけに留まらず、機関士のインタビュー機関区に当時あった入浴施設内での録音などレアなものも散見。東京駅発車最後のSLの発車時駅アナウンス音なども存在。マニアの方であれば、BGM代わりにお聞きになるのも悪くないだろう。

【レビューNo.1462】R.シュトラウス交響詩チクルス[2]:ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲル&ばらの騎士

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評価★★★★ ガラパゴスジャパンな話だが、 音楽之友社が毎年行っているレコード・アカデミー賞に本盤が選ばれ たそうだ。評者も若い頃みたいに馬鹿みたいにクラシック音楽のトレンドをフォーしているわけではないが、N響がレコード・アカデミー賞を受賞したということがかつてあっただろうか?日本人演奏家(内田光子や小澤征爾、サイトウ・キネン・オーケストラ)が受賞しているのはあったと記憶するが、本邦オーケストラが受賞するというのは極めて珍しいことだろう。一方で、風の便りにヤルヴィが就任してからのN響が極めて高い評価を得ているということも聞いていたので、試しに聴いてみることにした。 驚いた。目隠しされてこれはベルリン・フィルハーモニーの演奏ですと言われても評者レベルの人間なら騙されるだろう。それほどまでに、技量も歌心も素晴らしいの一言。個人的には「テイル・オイレンシュピーゲル」の断頭台からラストあたりの千変万化の音色にうっとりした。 評者はかつてシャルル・デュトワがN響首席指揮者に就任した際の最初のコンサートを生で体験している。その時「これでN響は10年は大丈夫だろう」と思った。先ごろN響はヤルヴィとの契約を更新したようだが、またも「これでN響は10年は大丈夫だろう」と思ったことだった。

【レビューNo.1461】一生お金に困らない人 死ぬまでお金に困る人

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評価★★★★ 著者の第一作目である住宅ローン入門本 のレビューにも書いたが、著者とはネット上で長年のお付き合いをさせて頂いており今回はわざわざご献本まで頂いた(ちなみに当ブログでは史上初の献本、ありがとうございました。)。特定企業に属しない独立系FPとしてご活躍をされる著者の日頃の本業でのご苦労がしのばれる一冊である。ここに書かれていることは至極真っ当であり、否定のしようも無いことが多いのも事実だ。私にとっても耳の痛い話が終章には書かれている。 一つ言わせて頂ければ、これからは少子高齢化なので多数の先代から資産の承継を受けることが普通になるのだろうと個人的には思っており、これまでとは少し違うライフプランを考えたほうがいいように感じており、この辺りはいずれまた著者ともお話をしてみたい気がしている。

【レビューNo.1460】戦闘機と空中戦(ドッグファイト)の100年史

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評価★★★★ 少し前のことだが92歳のご老人の方とお会いする機会があった。お話をしてみると「特攻隊の生き残り」だと仰る。聞けば、当時の国体では中学生(旧制中学と思われるが)でグライダー競技があったそうで、この方はいわゆる航空少年から戦闘機乗りとなって最後は特攻隊として空に散るはずだったのが、戦況の悪化によりついには自分の搭乗機が供給されず終戦になったのだと言う。その方が生き生きと語る空の世界の話を聞いていて、この世界のことを知りたくなったところ作家の(という表現でいいのだろうか?) 板谷敏彦氏にこの本の存在を教わった 。 手に取ってみると432ページもあるので、百科事典の様に分厚く読みきれるかと心配しながら開けてみたのだが、著者の図解を多用した解説もあって非常にわかりやすい。特に、評者にとって未知の部分が多かった初期から第一次世界大戦の頃の空戦の様が凄まじい。米軍航空隊は第一次世界大戦中の月間戦闘員損耗率が100%(1ヶ月継戦すると部隊全員が戦死の意)に達していたという。また第二次大戦においては、日独共に著者の言うところの「共有状況認識」の欠落によって、空の優位を失ったのは明白だ(双方共に、人材含め改善の可能性もあっただけに惜しい)。本書は、ライト兄弟の初飛行から最新のF35ないし無人機に至るまでほぼ全ての歴史上の戦闘機を網羅しているが、この「共有状況認識」の意識こそが空戦において決定的に重要であることは全編を読んでみれば明らかだろう。ミサイルやITなどのテクノロジーも全てこのためである。そのトレンドに反して、単機での格闘戦にこだわった零戦の敗北は、野村監督風に言えば「負けに不思議の負け無し」ということではないだろうか。 著者は終章で将来の無人機の圧倒的なパワーにより安易な戦闘の発生を警告している。そして「戦闘機の最も賢い使い方は、爆弾で何かを破壊することでも、ドッグファイトに打ち勝つことでもない。ただの一度も実戦の機会なく、平和のための「抑止力」としての機能を務め果たし、全機を無事に退役させることである。」と書く。その通りであろう。