投稿

【レビュー№1285】フラッシュ・ボーイズ

イメージ
評価★★★★ 評者がHFT(高頻度取引という訳語でいいだろうか?)という単語を初めて聞いたのは、当時購読していた ぐっちーさんのブログ だったと記憶する。あれから少なくとも5年はたっただろうか?どうやら事態は更にエスカレートする一方のようだということが、本書を読んでわかった。 プロローグとして冒頭に、とにかくなるべく直線に光ファイバーを引くことでマイクロセカンドの世界での通信速度を上げることをビジネスとする人たちが描かれているが、これを聞いて思い出したのは、 伝説の空売り王ジェシー・リバモア だった。記憶によれば、若き日のリバモアは当時ようやく敷設され始めた電信回線を巧妙に使い多大な収益を上げたと聞く。 要は、時代は変われど他者を出し抜くことが本質という資本主義のDNAはいささかも変わりないということだ。 ならば、我々ゴミ投資家としては、ネギを背負ったカモにならないことだろう。職務上デイトレードはご法度の評者であるから関係ない話だが、個人がデイトレードで勝てるとは、本書を読んだ後ではとても思えない。 この日本語版には訳者あとがきに加えて、「解説」が書かれているのだが、本邦個人投資家ならばこの解説は一読の価値がある。もはやフラッシュボーイズは日本人にとっても、他人事ではないのである。

【レビュー№1284】週刊東洋経済 2014年11/8号

イメージ
評価★★★ 間が悪かったのは編集のせいではないのだろうが、ちょうどこの特集が発売される前週の金曜に、まさかの日銀追加緩和で世の様相は一変してしまった。 実は表紙とは裏腹に、本号の約半分はアベノミクス再評価の特集である。銀行の方を表紙に持ってきておいて九死に一生を得たというところであろうか。 なお、肝心の「銀行」に関する記事は、既に東洋経済版のウエッブ版等に開示されているようなので探せばみつかるので、評価についてはみなさんにお任せをしたい。

【レビュー№1283】零からの栄光

イメージ
評価★★★ ある著名キャスターの ヨットでの太平洋横断中の遭難 に、荒天をものともせず出撃し見事救出したことで一躍有名となった自衛隊の 救難飛行艇US-2。 本書は、その製造メーカーである 新明和工業社 とその前身であり名機「 紫電改 」や 二式大艇 の製作 で知られる川西航空機社の歴史を描いた城山三郎による小説である。 一般には余り知られてない米軍機を圧倒した紫電改の性能とその実戦や、今回評者も初めて知ったのだが、実は真珠湾攻撃の第二波として極秘裏にハワイ空襲を行っていた二式大艇(航続距離はB-29すら上回ったという)、そしてそれらを創りだしていった人たちのドラマが展開していく。ある種男のロマンの物語だろう。

【レビュー№1282】ホット・ゾーン

イメージ
評価★★★★ 読書というものは難しいものだ。どんなに優れた本であっても、それを読むべきタイミングというものがある。例えば、先般ご紹介した「 マッサン 」の 自伝 も、いま読むことが読者にとっての喜びになるのだろう。 ご承知の様に、アフリカ発のエボラ出血熱がにわかにアウトブレイクの様相を呈しつつある。本書は何度か出版され絶版になった歴史があるようだが、当時から話題の書だったようで、いつだったか昨今は書評家としても名高い成毛眞氏に、強く本書の一読を勧められたことがあったが、その時はその気にならなかった。しかし、今は違う。いつ読むか?今でしょ! 本書はエボラ出血熱が人類への攻撃を始めたと思われる1967年から1993年までの出来事を、あたかも小説のように書き記してあるが、(一部名前が仮名になっているようだが)ノンフィクションである。おどろおどろしいエボラ出血熱発症後の患者の描写などは、評者も一字一句を読むことがためらわれるほど。 米国ワシントン近郊のレストンで起きた1989年のアウトブレイクの殲滅作戦が、本書の白眉なのであろうが、まさにハリウッド映画を見ているかのような緊迫感を覚えるのだが、これはまさに現実に起きた出来事なのである。 アマゾンジャパンにある方がレビュー を寄せておられるが、これを一読するとおおかた本書を概観することができるので、一読をお勧めする。一言だけ言っておくと、エボラは空気感染をしたとしか説明のできない事案が発生していた事実があるということだ。

【レビュー№1281】映画「るろうに剣心 伝説の最期編」

イメージ
評価★★★★ 我らが大友監督のたぶん「るろうに剣心」シリーズの最終作。前作の京都大火編があまりにも「つづく」感が強かっただけに、期待も高かったのだが、その期待を裏切らない出来だったと素直に思う。往々にして、何事も、期待が大きい時はそれを裏切る結果が多いものだけれども、いい意味でそうではなかった。 スピーデイで圧倒する活劇であることは前2作とまったく同じ。爽快なことこの上なし。 女性陣であれば、ラストの剣心のセリフでほっこりするのだろうか? さて、次の大友作品が何を描くのか?今から、楽しみ。もしや、 橘玲氏の小説 ではないだろうか?

(修正あり)【レビュー№1280】武智志穂と行くかわいい石垣島&八重山諸島

イメージ
評価★★★ 年末年始に石垣島を旅行予定であり、予習のため図書館に蔵書が無いか調べたが、石垣島の旅行に関してはこれ一冊しか無かったので借りて読んでみた。 評者はまったく知らないが、読者モデルとして有名な武智志穂さんが石垣島を中心とした八重山諸島の旅を案内するという趣の様子。 その手の本としては可もなく不可もなくの内容だろうが、ふと載っている竹富島の写真を見て気づいた。ここは ドラマ「ちゅらさん」のロケ地 ではないか?と。どんぴしゃりだった。ドラマ「 ハゲタカ 」好きである私にとって 大友監督 作品のロケ地に訪問する理由が、また一つ増えた。 (9/28修正)ちゅらさんはロケ地小浜島ですね、失礼しました。竹富島のご近所の島のようです。

【レビュー№1279】ウイスキーと私

イメージ
評価★★★★ 来週からいよいよ NHKの朝の連ドラは「マッサン」 が始まるのだが、予告編を見ていて気づいたのだが ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝氏とその妻リタ をテーマとしたドラマのようだ。 本書は、竹鶴氏本人が生前に日経新聞の「私の履歴書」に寄稿した自伝をまとめて刊行されたようだ。当初は非売品であり関係者以外には入手は困難な書物だったようだが、今般のドラマ化に際して復刻販売更にKindleでの電子書籍化もなされたことは喜ばしい。 ドラマの予習として読むのもよし、明治生まれの先人達の奇想天外な努力の道をたどるもよし、もちろんウイスキーとは何かを知るために読むのもよし。 余談であるが、ニッカウヰスキーと言えば、余市、余市と言えばスキーのジャンプ競技選手団と思い浮かべるが、その育成にも竹鶴氏が関与していたのには驚いた。