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【レビュー№1195】アベノミクスの幻想

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アベノミクスの幻想―日本経済に「魔法の杖」はない 評価★★★★ 先日の朝生で司会の田原総一朗氏が、 本書の一部を引用して話をしていた ので、気になって手に取った。 著者はこの界隈の方なら知らぬ方はないであろう著名ブロガーであ るが、それ故多くの著者の著書は、 ブログ上である意味ネタバレしている話題が多く、 失礼ながら過去の著作には辛いレビューをさせて頂いた気がする。 だから正直読み始めた時にはさして期待してなかった。 だが、今回は違う。 ブログで見かけた話も無くはないが、 いずれもそこから更に掘り下げて書かれてあるような気がするのだ 。それは、おそらくは著者の「アベノミクスに対する危機感」 がただならぬレベルになっているからではないかと勝手に理解した 。 アベノミクスで、 坂の上の雲をつかむ夢も見られるのかも知れないが、 坂の下の泥道に叩き落とされる可能性が少なからずあることを本書 は教えてくれる。 願わくば、最終章に示されている様な望ましい対応が、 日本経済に対して取られれば良いのだが。

【レビュー№1194】聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓

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聞け! 是清の警告 アベノミクスが学ぶべき「出口」の教訓 評価★★★★ この夏はいくつか戦前期に関する書物を読んでいるが、その中でも本書は私のような初心者にもわかりやすいということでオススメ(★4つ)。 高橋是清と言えば、個人的にはこれまで 「日露戦争、資金調達の戦い」 や 「「持たざる国」への道」 などの読書であらあら理解していたが、本書は特に今注目されているいわゆる「高橋財政」とアベノミクスとの類似点を探ることに焦点を置いているのが特徴。 著者の最近多く出しておられた電子書籍の類と同様で、平易に書かれていることがありがたい。それにしても、アベノミクスは果たして是清の「出口」の教訓を活かすことができるのであろうか? こんな話 を聞くと、その航海はなかなかに厳しい物のように思われるのだが。

【レビュー№1193】金融リスク管理を変えた10大事件

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金融リスク管理を変えた10大事件 評価★★★ 偶然にも版元であるきんざい本社で研修を受けていた時に、本書の存在を知った。その際、素人にもわかりやすそうだと直感し読んでみることにした次第。 著者は、旧長銀や旧三和銀行等々において、一貫してリスク管理業務に携わってこられた方のようだ。著者によると、昨今は現場も若返りが図られており「ブラックマンデー」や「LTCM事件」などは、彼らにとってはもはや「歴史上の出来事」でしか無いようだ。そこで、ブラックマンデー以降HFT取引によるフラッシュクラッシュに至る金融界での主たる10大事件を解説するべく、本書の執筆を思いついたのだという。 時の移ろいは早く、そろそろリーマンショックでさえ既に過去の出来事となろうとしている今、時宜に適う出版と思われる。 読んでみると、いつの時も人間は歴史に学ばないのだな、と確認することにもなるのだが。いつの時代にも、タレブが必要なようだw

【レビュー№1192】日本銀行

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日本銀行 (ちくま新書) 評価★★★★ 今や、星の数ほどアベノミクスについて書かれた本が執筆されている。本書は、あとがきにある通り、当初はアベノミクスについてではなくあくまで題名の通り「日本銀行」についてのわかりやすい解説書ということで企画されていたようだが、幸か不幸か執筆途上でアベノミクスフィーバーに巻き込まれて、著者の言うところの「この本の時事性を不必要に高めてしまった」ようであるが、読者にとっては結果的には抑制された基調のアベノミクス解説本ともなっているのでありがたい。 ちょうど本書を読む前に、 『「持たざる国」への道』 を読んでいたのだが、この両書を読めば近代以降の日本の金融を中心とした歴史とその中での日本銀行の果たしてきた役割と現状と今後の展望が概観できるのでは無いだろうか。 例によって 池田信夫氏がレビュー されているので、本書の主旨等についてはそちらをご参照願いたい。

【レビュー№1191】風立ちぬ

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話題のジブリ新作「 風立ちぬ 」を一家で拝見してきた。 何度も涙が出た。いい作品だったと思う。 まあ、なぜ 主人公の声が庵野 なのかとか、実際には酒もタバコもやらなかったらしい 堀越氏が延々とタバコを吸うシーンを巡って騒動 が起きるなど色々あるのだろうけど、やはり私の関心事は「なぜ宮崎駿氏が今これを創ったか?しかも、このストーリーで。」ということに尽きると思う。 ちょいと自分の仕事に関わる話であるが、相続の業界で使われる言葉のひとつに「遺書と遺言は違う」というものがある。遺書は例えば豊臣秀吉の「なにわのことも夢のまた夢」のような今際の際の最後の言葉であるのに対して、遺言はある種の指図書と言うことができよう。 こちらのインタビュー記事での宮崎駿氏の発言 を読んでいると、そろそろというか確実に人生の最期を覚悟し始めていることは明白だ。そういう意味で、本作は宮崎駿氏の「遺言」の一つなのだろう。 遺書と違い、遺言は後で何度でも書き換えができる(余談だが、本物の遺言も法的には最後の日付のものが有効である。よって、後日それを巡って紛議が起きることも多いと聞く。)。実務の体験から言うと、だいたい数年から5年に一度は遺言の書き換えの相談をされる方が多い様に思う。恐らく、これからもいくつかの「宮崎駿の遺言」を見させていただくことになるのだろう。それをまた静かに待ちたいと思う。

【レビュー№1190】海軍乙事件

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海軍乙事件 (文春文庫) 評価★★★ 夏休みということで、このところそれらしき本の読書が続いているが前々から読もうと思っていた海軍乙事件をついに手に取った。 著者はこの手の歴史小説ものを書かせたら超一級の吉村昭氏。以前大震災の直後頃に氏の 関東大震災 を読んだのだが、その緻密な調査に裏打ちされた描写に舌を巻いたが、本書でもその技は遺憾なく発揮されている。ある時は自分が二式大艇に搭乗しているようであり、ある時はジャングルで行軍させられているようでもあり、ある時は軍令部で尋問されているようである。 ここであえて乙事件についての内容なり感想について書くことは避けるが、同じ本に収録されている海軍甲事件(山本五十六連合艦隊司令長官機撃墜事件)と併せ読むと、感慨深いものがある。

【レビュー№1189】「持たざる国」への道

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「持たざる国」への道 - 「あの戦争」と大日本帝国の破綻 (中公文庫) 評価★★★★ この時期になると誰しも考えるのが、「なぜ日本はあの戦争を始めてしまったのだろう?」という疑問だろう。そのことについての主として金融の面からの答えが本書であろう。 「たかが金の話」だと思わない方がいい。かつて 「日露戦争、資金調達の戦い」のレビュー にも書いたが、お金なかりせば戦争継続すらできないのだから。 読んでしまうと脱力してしまう話が多いのだけれども、あとがきに著者が書いているように、戦前の日本の金融政策は現在FEDが行っているQEの様なものであり、日本の戦前の金融史を知ることは、実は現下の金融経済を考える上でも有益であるという点は重要だ。 様々な意味において、この夏読むのに適した本かと思われる。