【レビュー№1798】落語に学ぶ粗忽者の思考

 

落語に学ぶ粗忽者の思考

評価★★★★

先日初の小説デビュー作を発刊したばかりの落語家立川談慶による新著。

今回も前作の小説デビュー作に続きコロナ禍の息苦しさを(一番感じているのが、自らの仕事が大変なことになっている著者だと思うが)、パーっと晴らしてくれる好著。

4ページでひとつの古典落語を紹介する形を取っているが、そこに堅苦しさは微塵もなく気楽に読むことができる。書中で著者が「二次元落語」という言葉を使っているが、まさにそれが本書を表すのにふさわしい。

毎回書いているが、評者は著者とは大学同期同窓で長いことつながりがあるが、実際に生の落語を聞かせていただいたのは、数年前とごく最近のことである。その時(実はテレビではなく生の落語を聞いたのは人生初だった)に誰に言われるともなく、「これ(=落語)は江戸の風だ」と思ったのだが、本書によればなんと著者の師匠である立川談志がしばしば「落語は江戸の風だ」と語っていたのだと言う。そうだとすればその江戸の昔からの伝統が、彼ら一門の落語家によって継承されているわけで実に貴重なことだ。しかも、腹の底から笑いながらこの時代にライブで実体験できるのだから、聴衆にとってはありがたい限りだろう。木戸銭など安いものである(そんな小難しいことを考えずに、バカな顔して笑ってりゃいいのだがw)。

もはやこの時代の決り文句になってしまったが、コロナが落ち着いたら、何よりも早く演芸場で師匠の落語を聞いてみたいと思う。

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