電子出版はすでに始まっている

池田信夫氏が、電子書籍出版に向けた動き出されたそうだ。池田信夫blogからご紹介。
(以下全文引用)

電子出版はすでに始まっている: "3月1日付で「株式会社アゴラブックス」を設立し、私が代表取締役に就任した。役員兼社員5人の超零細企業だが、4月から電子書籍の刊行を始める予定だ――といっても、設備は何もない。インフラはGoogle Appsで1人年間6000円。システム管理もすべてアウトソースするので、固定費はゼロ。失敗した場合のリスクもほとんどない。



iPadは今月下旬に日本でも発売されるが、それを使って読む電子書籍が日本にはほとんどない。このまま放置すると、日本は音楽流通や映像流通のように欧米に大きく引き離され、中国にも抜かれるおそれが強い。しかし日本の業界の実態を知っている人ほど、ビジネスを始めようとしない。電子書籍は、これまで挫折に次ぐ挫折の連続だったからだ。その原因はいろいろあるが、大きくいって次の3つだろう:
  1. 紙の本に匹敵する見やすい端末がない

  2. 出版社がコンテンツを出さない

  3. 流通ルートがない
このうち1は、iPadやKindle(秋には日本語版が出るようだ)で解決されるだろう。2は意外にそうでもなく、出版不況が深刻化する中で「座して死を待つより電子出版に活路を求めたい」という出版社は多い。角川歴彦氏のように著書を全文公開する経営者もいるし、Google Booksに4000点も提供した出版社もある。



たぶん一番むずかしいのは3で、これまでの電子出版がこけた最大の原因もこれだ。実は今でもそういうウェブサイトはあるが、ほとんど売れていない。ところがオタク系サイトは繁盛しており、並みの出版社よりもうかっている。携帯の読書サイトの大部分もオタクとマンガとエロで、これも高い収益を上げている。



つまり大人の知らない世界で、電子出版はすでに一大産業に発展しているのだ。これは80年代にテレビゲームが飛躍的な発展をとげたのと似ている。共通点は子供の娯楽なので誰も関心をもたず、役所が補助金を出して「育成」しなかったので自由にビジネスができ、マスコミが「戦略産業」などと持ち上げなかったので大企業が参入しなかったことだろう。



だから技術的には何もむずかしいことはなく、問題は多くのアクセスを集めるウェブサイトと、課金できる「大人用コンテンツ」の流通システムをつくることだ。当社はインフラをもたないので、これは他社と提携して進めている。明日から4回にわたるセミナーシリーズには主要な出版社の関係者もそろうので、こうした問題を議論し、日本のメディアを変えるきっかけにしたい。
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