菅大臣の「口先介入」について=「結果オーライ」だったのでは

日銀ジャーナリストの本石町日記さんが財務相の一連の発言について記事を書かれている。
(以下、全文引用)

菅大臣の「口先介入」について=「結果オーライ」だったのでは: " 菅大臣の円安誘導発言、つまり「口先介入」がいろいろと報道されて、菅氏がまずい対応を取ったかように扱われていた。ただ、この件で総理がコメントする場面がニュースに出ていたが、全体を聞いた印象では問題視するような印象は受けなかった。今もNHKが「波紋が広がっている」と報じているが、正直、この件はそれほど大々的に取り上げる問題なのか、という気がする。意図的に騒ぎを大きくしているきらいがある。

 報道では、発言で相場を動かしたこと自体を問題にするかのようなものもあったが、つい数年前は介入しまくりで、それに比べれば発言でちょっと動いたこと自体は大した話ではない。口先介入すると、逆に相場の安定化が難しくなり、基本的に水準には触れない方がいいよね、という経験則があるからで、相場との対話の技術論に過ぎない。逆説的には、口先がメチャうまくて相場が安定できる能力があるならやればいいのである。相場を幻惑した榊原財務官とかドル買い、ドル売り両方やっちゃているし。溝口財務官など30兆円も打ち込んだ。

 私は、どうせうまくいかないのだから、と思っているので、口先でも実弾でも介入という方法には否定的だ。その上で、菅大臣の今回の発言を(かなり無理して・笑)好意的に解釈したいのは、前任の藤井大臣が広めてしまった円高容認というイメージを多少なりとも払しょくできた可能性があるからだ。

 経済的観点では、今の日本経済にとっては円高は困るのであって、なるべく円安気味に推移するのが望ましい。ところが、藤井大臣の発言でドル売りが仕掛けられやすい地合いが定着した。最近でこそポジション調整でドルは反発したが、再びドル売りの流れになると「どうせ介入はないんでしょ」となめられてしまう。その流れが今回の発言でいったん断ち切られたら、良かったと評価すべきであろう。

 問題は今後の対応だ。「この政府は円高が行き過ぎたら介入してくるに違いない」と市場に恐怖感をもたらすことができるかどうか。市場が調子に乗ったら、どっか効果的なポイントでガツンと食らわせる介入をやれる覚悟があるかどうか。後、相手のある話でもあり、そこら辺の調整ができるかどうかも肝であろう。

 繰り返すが、私は介入支持派ではない。為替はまともに相手するマーケットではないので。それに米国が露骨にドル安政策取ったら万事休すでしょう。対抗介入したら米国債無制限引き受けとなり、米国の思う壺。米国がそうしないことを祈りつつ、のらりくらりと為替に的を絞らせない対応をうまくやるしかない。

 

 そもそも論だが、通貨政策に責任を持つ担当大臣が発言で為替を動かしてしまうのは問題のなのだろうか。介入して動かす権利を持ってるのに。繰り返すが、今後の対応は難しいけど、円安に振れて良かったんじゃないの?"

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