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【レビュー№1746】日本企業の勝算

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日本企業の勝算   評価★★★ 思いもせぬ政権交代があり 菅首相が就任した。報道などによると、氏の経済ブレーンの一人として著者アトキンソンの名が上がっている 。新政権発足と前後して「 地銀問題 」がクローズアップされるなど、何やら風向きが変わりそうに感じて、あわてて著者の近著を手にとった。不思議なことに著名な著者の近著にしては図書館での順番待ちもなくすぐ借りられたのだが、その理由はすぐわかる。わかりにくいのだ。おそらく著者は内外の膨大なレポート(その中心は中小企業白書であるが)を精査したようなのだが、それを読んで感じた著者自身の感情の高まりがあまりにも激しかったのか、わかりやすい日本語の文章になってない(と、英国生まれの彼に言うのも酷な話ではあるが)。だから、あまり人気になってなかったのだろう。 本書に書かれていることはただひとつ、日本には中小企業が多すぎる、それが経済低迷の唯一無二の理由であり、そこを改善しなければ日本経済に未来は無い、ということだ。そのことを様々なデータから繰り返し繰り返し強調されるので、読んでいると辟易とする。 まさか政権がいきなり中小企業いじめをするとは思えないので、その偽装のために地銀いじめをを始めたのだとすれば、それは高度な作戦と言えるだろうが、果たして真相はどうであろうか。

【レビュー№1745】安政五年、江戸パンデミック。

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安政五年、江戸パンデミック。 評価★★★★ 著者である立川談慶師匠は史上初の塾員(慶應義塾大学卒業生を指すテクニカルターム)真打ち落語家であり、評者の同窓同級生にして同じゼミに所属していたという縁がある。本書にもわずかにそのゼミ(農業経済学という経済学部としては異色な分野)の指導教授とのやり取りが書かれている。それを読んでいて、またまた世の中の縁というものを強く感じた。著者の卒論テーマが、長野(著者の故郷)の百姓一揆にかかるものであり、本書の内容と通じるものがあるからだ。いやはや、人生何が幸いするかわからない。30数年前に学んだことが活かされる時が、突然やってくるのだから。 人類の歴史は感染症との戦いだったことは間違いあるまい。まして、江戸時代の江戸は世界最大の人口を抱えたのだから、現代医療も無い時代、それはそれは生きていくことすら大変だったろう。著者も学生時代に講義を取っていたはずの 歴史人口学の権威でありスペイン風邪の歴史研究にも詳しい故速水融先生 曰く、「江戸は人口の蟻地獄」だったのだから。 そんなとてつもない江戸の街を、意外にも江戸っ子たちは風に吹かれる様に軽やかに駆け抜けていた風情を描いたのが本書だ。 当時の感染症はコレラ、今はコロナとなぜか病名も似ているのも何かの因果か。 時に数万人もの死者を出していた感染症の中であっても、意外にも江戸(時代)の人々がおおらかに生きていたのは興味深い。それに対して、いまわれわれが、ステイホームや在宅勤務と称して家に閉じこもり、わずかに出かける時もおびえながらマスクをして歩いているのはなぜなのだろう(なお、評者は識者の見解を信用し、外出時戸外を歩いている時はマスクをしていない)。 巻末に年表が記載されているが、歴史的な事件、事象と、感染症の発症時とが合致していることも新しい発見だった。歴史を動かすのは生きるか死ぬかの決断を迫られた時なのだろう。

【レビュー№1744】昭和20年8月20日 日本人を守る最後の戦い

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評価★★★★ 本書の単行本は昭和56年の発刊だそうだが、我が家の机上に置いてあったと記憶する。評者の母が、本書で描かれている内蒙古の張家口からの引き上げ一家の一人だからだ。 評者がこよなく愛する「キスカ島撤収作戦」とは違い、本作戦(内蒙古、張家口からの邦人4万人脱出作戦)では敵(ソ連軍)味方共に実に多くの将兵が戦死ないし負傷されている。この方々の尊い犠牲なかりせば、今日私はこの世に存在してないのだ。40年近く前に読んだ時もそうであったように、今回も本書を読みながら感謝の涙が止まらなかった。 かつて母から聞いた「無蓋貨車に乗って天津まで何十時間もかかって運ばれたが、沿線を守っていた日本兵がリンゴを投げ入れてくれた」との逸話も紹介されていた。その兵隊さんは、ご無事にご帰国できたのであろうか?それとも?敗戦後の昭和20年8月20日に、命をかけて4万人の邦人を守り抜いたみなさんに、この場を借りてお礼申し上げたい。 あと長く眠りついていたこの本を文庫本で復活頂いた出版元にも、感謝申し上げたい。

【レビュー№1743】歴史群像 2020年 08 月号

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評価★★★ たまたま近所の本屋でボーッと眺めていたら、キスカ島へ向かう第一水雷戦隊の旗艦軽巡阿武隈以下の艦隊の絵が目に飛び込んできて、ほぼ即買いしたのだが、なかなか読み切れなかった(実はまだ全ページを読んだわけではない)。 なんせ、戦国大名からノルマンディー上陸作戦に至るまで、非常に幅広い時代の「戦争」を取り扱ってる雑誌で、頭を切り替えて次々とやってくる記事を読むのが、結構くたびれるw 冒頭の太平洋戦争末期の志布志湾本土決戦準備(米軍上陸阻止作戦、終戦により準備だけで発動されず)は、初めて聞いた話で驚いた。下手をすると志布志を橋頭堡とした米軍が昭和20年の10月には宮崎平野に上陸をしていたわけで、私の父母の故郷は灰燼に帰していた可能性が高い。 お楽しみの「詳解 キスカ島撤退作戦」はここまで史実に基づいた説明を聞いたのは初めてな気がする。また、本記事のおかげで 防衛省の戦史研究書籍が全文公開 されていることを知ったのもありがたい発見だった。

【レビュー№1742】史上最大の作戦

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評価★★★ これまたNHKのBSで最近放映されたので、おそらく30数年ぶりかに拝見したのだが、あの頃はなんと間の長い退屈な映画だと思っていたのが、今見るとずっと緊迫した感じ最後まで見ることができたのはなぜなのだろうか。 パットン大戦車軍団がアカデミー賞7部門受賞に対し、こちらは2部門受賞だそうだが、個人的には2万人もの戦死者(連合軍側)を出したというノルマンディー上陸作戦をたんたんとドキュメンタリーチックに描いた本作の方が遥かに素晴らしいと思ったのだがいかがだろうか。 知らなかったが、ウィキペディアによればジョン・ウエイン演じる米軍中佐は実際には20歳台だったそうだが、当時ジョン・ウエインは既に50歳だったそうだ。

【レビュー№1741】マンガでわかる 自律神経を整える習慣・運動・メンタル

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評価★★★★ 長いこと降圧剤と抗コレステロール薬のお世話になって内科のホームドクターとの付き合いも長くなってるが、数年来ドクターから自律神経失調症気味ですね、との指摘を受ける様になった。特に季節の変わり目などに、血圧の不安定などの症状が出てきた。 昨年だったか、本書の著者が出演するEテレの番組が放映(再放送だった様だが)された。そうこうしているうちに、今般の新型コロナ騒動もあり、正直心身共にかなり疲弊して、少し真剣にこの問題に向き合おうと思って、手始めにこのマンガで読破的な本書を手に取った(なお、著者は自律神経関連の売れっ子の様で、執筆は多数に及んでいる)。 正直、自律神経失調症素人は本書くらいから入ればいいのではないかと思う。簡単な日次のエクササイズ、わずかな食生活の注意(よく考えてみれば親や女房に言われてきたことだったりするのだが)、そしてこれが難しいのだがメンタルのコントロール(要は気の持ち様)で、著者は自律神経の改善が期待できると言う。 本書を(著者を)信頼する気になったのは、(本書にあることをやってみて一定の効果があったのもそうだったが)、著者自身が一時自律神経失調症に陥り、自らもがき苦しんだことがあると語っているからだ。 薬を処方するだけの医者ではないだろう。タレブがよく持ち出す「ローマ人の橋の建築家は、建築後しばらく橋の下で寝泊りすることを余儀なくされた。そうすれば、崩れてしまう様な橋を建築する者はいないだろうからだ。」との逸話を彷彿とさせる。

【レビュー№1740】日本沈没

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評価★★★ これまたNHKのBSで最近放送されてて、おそらく30年以上ぶりに拝見したかと思う。記憶の彼方にはかろうじてラストの列車の走行シーンのみが残っていたのだが、改めて拝見すると若さあふれる藤岡弘もすがすがしいが、丹波哲郎の首相役が神がかっていて驚く。丹波哲郎は若干年老いてからの「死後の世界はある」あたりからのほうが記憶にあったのだが(もしかするとあの頃は初期の認知症の状況だったのだろうか?)、本作での丹波哲郎の演技は特筆ものではないだろうか。 昭和の男はこれほどまでに、タバコを吸っていたのか?と妙なところが気になるのも昭和ならではか。飛行艇PS-1もしくはUS-1の着水シーンなどから自衛隊の協力も得られており、近年のそして歴代のゴジラ映画同様のリアリティをもたらしているのは嬉しい。